車輪が動く際にはサスペンションがどのように機能するのか?ということがわかっていないととんでもないものになります。

ショックアブソーバーの減衰やバネレートに目が行ってしまいがちなのですが、サスペンションそのものの構造を感覚的にでも理解していないとです。

私は4輪のサスペンションを90°向きを変えたら2輪のサスペンションだと思っています。

さて、サスペンション構造の基本はテコなんです。テコには支点、作用点、力点があります。それらの関係にレバー比というものがあり、それらが足回り全体をつかさどっているんですね。



ストラット式やバイクの直押しのような単純な構造においてもレバー比は関係します。二輪で良くカスタムされるロングスイングアームなんかはレバー比が大きくなりますよね。

レバー比が複数絡むリンク式サスペンションでストロークを変える為に一部リンクを交換した際には頭がてんぱってしまうくらい様々な事を再度考えなければいけなくなります。





単純なストラット式やバイクの直押しのサスペンションにおいても最低限のレバー比が絡んできます(二輪の場合はそれだけではなくピボットからアクスルまでの距離が変わり旋回の同心円が変わったりキャスター角が変わったり・・・他にも変化があります)。

四輪で言えばワイドトレッドスペーサー装着、インセット量、リム幅を変えるだけでもレバー比が変わるので入力が変わります。それだけでバタついたり、柔らかく感じたり・・・。サスセッティングにおいては減衰、ストローク、タイヤの性格や性能だけではなく、ホイル重量、サイズ、剛性、重量も加味しながらこのレバー比の事も考慮しないとより緻密なセットアップは望めませんよね。

余談ですが、ワイドトレッド化する方向にするとレバー比の関係でハブベアリングに負担がかかり、ブレーキのノックバックという現象が発生したりハブベアリングの寿命を縮めたりする事があるので気に留めておいてくださいね…

ちなみに・・・
CT9AエボRSの場合でVOLKとENKEIでは、同じタイヤ、同じホイルサイズでも重量と剛性の違いからバネレートが1Kg/f変わりました。VOLKの方が柔らかいので固くしないとダメだったんです。また、柔らかい故に瞬間的なたわみが発生して、ステアリング感覚の瞬間的入力時のレスポンス遅れを感じたり・・・
ですから重くてもENKEIを使っていました。GC8の時代はトルクが細かったので剛性感よりも軽さを優先してVOLKとSSRを使いわけてていましたヨ。

一方向から見るだけの考え方だと、本当に味のあるモノに仕上げる事はできません。様々な方向からみてバランスを調整していく必要があるんですよね。