先日の記事で
”「スラロームの3本目で破綻する車」と「最後まで一定のテンポで抜ける車」の差は何か。”と予告していました。
楽しみにしてくださっていた方がいらっしゃいましたら、少しだけお詫びです。
今回は「予定を変更します。
理由は単純で、
どうしても今、書いておきたい事があるからです。
部屋に並べたディアゴスティーニの零戦21型と雷電を眺めながら、
忘れていた感覚が一気に蘇ってしまったのです。
今日はその話を書かせてください。
■ 雷電を見た瞬間
箱を開けて、斜め後方から雷電を見た瞬間。
「ああ、これだ」
と、思わず声が出ました。
派手さはない。
零戦のような優美さとも違う。
でも、どこから見ても線が破綻していない。
主翼の位置。
操縦席の座り。
エンジン重量を受け止める前重心。
35度近い後退を持つ垂直尾翼。
そしてキャノピー後端から垂直尾翼へ流れる一筆書きのライン。
それは“格好良さ”ではなく、
設計思想が途切れていない形でした。
模型なのに、空気の流れが見える。
そう感じたのです。
■ 卒業設計という原点
航空工学を学んでいた学生時代、”航空機設計法”という
講義で私は6m級の単座レシプロエアレーサーを設計しました。
・全長 約6.2m
・全幅 約6.2m
・翼面積 約6.4㎡
・重量 約950kg
・出力 約260hp(ライカミング社製GO435-C2空冷水平対向6気筒)
・構造6G設計
・最高速 約340km/h。
・初期上昇率 約10m/s。
エルロンは翼端側50%、後縁40%、舵角±25°。
200km/h域で約300deg/s級のロール応答。
いま再計算しても、数値は破綻していませんでした。
■ でも成績は「可」
その航空機設計法の成績は「優良可」のうちの“可”。
旅客機や輸送機を設計した人間のほうが、
理論的には正解だったのだと思います。
でも私は、最初から違うものを見ていました。
机上の最大効率ではなく、
・反応が線形であること
・遅れが少ないこと
・限界が読めること
・操縦者が信じられること
を優先していたのです。
■ そしてトヨタiQへ
なぜ私はトヨタiQに心を奪われたのか。
小さいからではありません。
珍しいからでもありません。
素材としての素性が、
私の設計思想に共感するからです。
ABARTHやSMARTと一括りにされると違和感を覚えるのは、
セグメントの話ではなく、“応答の質”を見ているから。
この感覚は、2輪レースをやっていた時代から変わっていません。
■ 結び
模型を眺めながら、
40年前の設計図面を思い出しました。
あの時「可」だった設計は、
いまの自分の基準そのものでした。
設計は、数字の足し算ではありません。
思想の整合です。
次回こそは、予告していた内容に戻ります。
でも今日は、この感覚を書き残しておきたかったのです。
雷電で見えた「整い」は、実はスラロームの3本目で正体を現すのです。
【次回予告】
次回はこの観察を、もう一段だけ実戦寄りにします。
(前ブログの予告内容につながります)
「スラロームの3本目で破綻する車」と「最後まで一定のテンポで抜ける車」の差は何か。
そしてその差が、どこに現れるのか。



