きらきらひかる | I Pray For...

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ショートショートやナチュラルストーンのハンドメイドアクセサリーなど、
何かを書いたり作ったり。羽生結弦選手について勝手に語ったり。
好きな音楽や芝居のことなども時折熱く語ります?

「大成功~」


生徒会長の満足げな声。真っ二つにきれいに割れたくす玉から紙ふぶきとともに
キラキラ光る細かい粉、その名も「キラキラパウダー」なるものが舞っている。

フロアの生徒達の紺色の地味な制服の上に赤や青、金や銀といった華やかなパウ
ダーが振り掛かっていく様は想像以上に、それはそれはあでやかだった。


思いのほかきれいなその世界にぼんやりと見とれているその時、誰かが叫んだ。


「な、なんなんだ?」

「ちょっとぉ!なに??これ!!」

「おい!生徒会!何入れたんだよ!くす玉のなか!」


あちらこちらから卒業生の叫び声が聞こえる。
いくらぱたぱたと制服をはたいても、キラキラ光るそれはそう簡単には落ちるも
のではない。ただでさえ、空気が乾いているこの季節にふさわしいハードな静電
気。家路をたどるその時もきっとどこかが光ってるはずだ。


隣を見ると生徒会長も副会長もにやにやしている。そして御満悦な笑顔は書記
の先輩。経理のわたしと監査の先輩は思わず握手をする。

「最後のいたずらは大成功だな」

会長がにやりと笑ってVサインをした。


なんのことはない。我々生徒会の最後の仕事がこの「卒業生を送る会」だった
だけだ。その最後の仕事にちょっとしたいたずらをしないか?といったのは
茶目っ気たっぷりの生徒会長。そういうのもいいんじゃないか?といったのは生
徒に間違えられるくらい童顔の顧問先生。どうせなら、全生徒に悪戯したいなぁ
ということで、くす玉に何か仕掛けようといったのはわたし。そんなときに、
タイミングよく例の「キラキラパウダー」を文房具店で見つけてきたのは副会長
だった。


あっという間に紙切れをただ切る退屈なくす玉作りは、こよ上なく楽しい作業
になった。3cm角の小さな透明の箱に入った「キラキラパウダー」を4箱を万遍
なく紙切れにまぶしてくす玉を閉じた時はわくわくした。

そしてその史上初のキラキラ光るくす玉の誕生は、我々生徒会の最後の仕事に
ふさわしいものとなり、全生徒の制服をキラキラ光る制服にしてしまったのだ。

むろんその後は恒例の打ち上げがまっていた。楽しい打ち上げも今日で最後だ。

「ささ!今日は俺のおごりだ!」

顧問先生は大きな袋を両手に提げて生徒会室にやってきた。袋に群がるたくさん
の手がテーブルの上に広げたのは、たくさんのおかしと缶ジュース、,

そしてなぜか一本だけある缶ビール。


「おい!そのビールは俺のだ!」

顧問先生はさっとビールを取り上げて、シュパッっと缶を開けた。

「よーし!準備はいいか?さ!われわれ生徒会!最後のいたずらに乾杯!」

生徒会長の乾杯の音頭、この音頭を聴くのも今日で最後だ。


「かんぱーい!」


ひときわ大きい声が誰もいない廊下に響いて消えていった。どんなに時間が過ぎ
ても今日のことはきっと忘れないと思うよ、って小さくつぶやいた声とともに。