あの日、仕事を終えてアパートに帰ってもつまらないんでゲームセンターに寄った。
ゲームセンターではメダルの預かり制度をやっていて、前回遊んで残ったメダルを預かり次に入った時にその枚数分を出してくれて遊べるという、サービスをしている店だった。
金も無いんで先日の残りで遊ぼうと思って寄ったのだ。
カジノ風の作りで大きなテーブルのポーカーとかブラックジャック、競馬などのゲームが並んで置いてある。
人間が相手するのではなく機械が全て管理しテーブルを離れるときに機械が清算までやってくれる。
いくつかのテーブルを回り、気がつけば最初500枚程度のメダルが1200枚程度に増えていた。
俺は俺なりのベットを掴んでおり、大して増えもしないが減りもしないという安全な賭け方ををする。
いくら枚数があっても換金は出来ず只で時間がつぶせるという子ども向けのゲームセンターなのだ。
ルーレットの台で遊んでると向かい側に一人の女の子が座るのが目についた。
やはり同席した相手が勝ってるのか負けてるのか気になるもんだ。
何気なく見ていると全然ベットする気配がない。
目が合ったので軽く微笑んでみせた。
なんだ、女と言っても高校生か中学生くらいか?
俺は相変わらず当てたり外したりしている。
機械は払い出しのときにちゃりんちゃりんと音がするので勝ったか負けたかがなんとなく分かる。
女の子は見てるだけに飽きたのか、立ち上がってテーブルを離れたと思いきや俺の隣に座ったんだ。
ゲームセンターにはこの手のタイプが2種類いる。
よく遊び方が分からないのでしばらく見ている型 と 友達と一緒に遊びにきたが先にメダルが無くなってぶらぶら時間をつぶしている型。
女の子は話し掛けてきた。
「ねえ、おじさん。上手いね、どうすれば勝てるの?このゲーム」
お、おじさん!カチンときたがゲームにイライラはよくない。
一般的なルーレットのベットの仕方と同じだがルーレット自体をよく理解してないらしい。
簡単に教えてやった。
それでもベットしようとしない。
「なんだ、メダル持ってないんか?」
「うん。全部使っちゃった」
「ほれ、これやるからやってみ」片手で一握りのメダルを渡した。
「ありがと」少女は両手で受け取った。
俺はルーレットにあきたので他のいくつかのテーブルを回っていた。
小一時間もたっただろうか。
再度ルーレットの前を通ると女の子が台に突っ伏して詰まらなさそうに欠伸をしてる。
「なんだ、まけちゃったのか?」
「あ、おじさん」
「おじさんは止めろ。俺はまだ28だ」
「ふーん、うち由美、15歳」
「なんでぇ。中坊か、学校は・・あれ、おまえ東京じゃねえな?」
[うち、家出してきたんよ。お金ないしここで遊んでるん]
「夜はどうしてんだよ?」
「ここで閉店まで遊んで後は漫画喫茶で寝るん」
「だけどもうメダルつかっちまったんだろ?しょうがねえな。やるよホラ!」
「わーサンキュ。でも只貰たら悪いからええわ」
「遠慮するな」
「な、おじさん。うち買おてくれん?メダル100枚と2000円でええわ」
「ばーか、お前みたいな赤ちゃんと出来る訳ないだろが」
「赤ちゃんやないもん!おっぱいも結構あるよ。セックスはあかんけどBまでな」
「なんだ。漫画喫茶行く金も無えのか?」
「うん。ジュースも買えんのよ」
正直薄給の俺には二千円ももったいない。
「どうだ?俺ん所泊まりに来るか?」
「泊まりは五千円でええわ」
「バカ!娼婦じゃねんだ。何もしねえよ。学生の身が心配だから親切で言ってるの」
「心配?何が・・・」
「何がって。怖いことないのか。変な男に声かけられたとか?・・色々さ」
指を立てて俺を指す。「おじさんが始めて」
「いい加減にしろよ。俺は変な男じゃねえよ」
「でも、行く。泊めてぇ。漫喫のソファで寝ると熟睡できないから寝不足なの」
「分かった、おれのアパートに今日は泊めてやるよ。晩飯食ったのか?」
首を悲しげに横に振る。
「分かったよ。牛丼奢ってやるよ」
「牛丼かぁ、・・・ラーメンと餃子たべたい」
「贅沢言いやがって。いいよ、具なしだぞ」
由美と名乗った女の子はどこからかデイパックを持ってきて腕を組んできた。
ラーメン啜りながら近況を聞いた。
家出してきて四日目。田舎は和歌山。兄と二人兄弟で両親は仲が悪く別居中だという。
学校がつまらなく、進学も考えてないんで家出した、行き先は花の都東京。よくあるパターン。でも普通若い子は渋谷だろう?
東京までの電車賃で持ち金のほとんどを使い、一日目はビジネスホテル泊まりで朝食食べたら、東京駅から渋谷に行く金さえ財布になかったんで蒲田辺りで遊んでいると答えた。
毎日客に小銭をもらって何とか生活できると笑った。
「和歌山ラーメンって聞いたことがあるけど、ラーメン好きなんか?」
そんな好きじゃないと言う。
「じゃなんでラーメンをリクエストしたんだよ!おまけに餃子まで」
「だって・・餃子食べれば大蒜臭くてキスしてこないと思ったから・・・」
「あのな・・赤ちゃんには何もしないって言ったろが・・・それに二人とも餃子食ってたらキスしても気にならないんだよ」
「あ、そうか」
計算してるんだか、無計画なのか甘いんだよ。
さすがに部屋に入るときは緊張したのか靴を脱ぐのをためらっていたようだ。
途中のコンビニで買ったお菓子とジュースを机の上に並べて声を掛けるとおそるおそる靴を脱いで上がって来た。
「いいか、怖がっているみたいだから先に言っとく。布団は一組しかないからお前に使わしてやる」
「おじさんは?」
「俺はこの寝袋で寝るから。如何だ、安心したか」
「うん、由美のおっぱい触ってもいいんだよ」
「まだ言う。赤ちゃんには何もしないの。中学生にんな事したら俺が警察にひっぱられちゃうだろ!もう寝るぞ」
「はーい。ちょっと向う向いてて。着替えるから・・・」
「見やしねぇよ。まったく、おっぱい触っていいの、着替え見るなって、訳わかんねえよ全く」
由美はもそもそと毛布の中でジャージに着替えて「おやすみなさい」というと
布団に潜り込んで小さな寝息を立て始めた。
さすがに中学生といえど女の子が側で寝ていると思うとなかなか寝付けなかった。
翌朝目が覚めると由美はもう起きており、テレビを見ていた。
「どうだ?眠れたか?」
「おはよー。テレビ面白いよ。いっぱい映るんだね」
チャンネルの多いことを言ってるらしい。
「俺は今日仕事だから会社いくけど、行くトコないんだったらテレビ見てていいぞ。もし出かけるんなら下駄箱の中に鍵入れといてくれ」
テレビに夢中の由美をそのままに顔を洗ってあわただしく出勤した。
仕事中は気にならなかったが、夕闇が近づくとやはり気になり急いで帰宅した。
アパートの下駄箱を開けると鍵が入っており、どこかに行ってしまったようだ。
半分ほっとし、少し寂しい気もした。
部屋で缶ビール飲みながら野球中継を見ていると誰ががノックする。
「はい。どなたですか?」
「あの由美です。今日も泊めて貰っていいですか?」
急いでドアを開けた。「早く入れよ」
「やっぱ行くとこないから来ちゃった」
「飯は食ったのか?昨日買ったお菓子とジュースだけか?しょうがねえな。行くぞ、今日は牛丼な」
「うん」「心配したぞ。え、いやちょっとな。ちょっとだけ。金無いの知ってるし」
「ホント?心配した?由美の事好きになっちゃった?」
「ばーか!おまえ見たいな小便臭い娘に誰が惚れるか」
「うちおしっこ臭い?」
「そういう意味じゃなくて・・」
「うちパンツは着替えてないん。やから臭うのかとおもたわ」
「着替え持ってないのか。わかったよ、パンツ買ってやるよ。だから今はいているパンツ今日洗濯しとけ」
「わーほんまに?今日こそおっぱい触らしたげるわ」
駅ビルにランジェリーショップが確かあった気がする。
さすがにランジェリーショップに二人で買いに行くのは気が引けて千円渡して
「これで買えるだろ?一人で買ってこいよ、ここで待ってるから」
10分も戻って来なかった。
気になって勇気を出して店に入ろうとしたら小さな紙袋を提げて出てきた。
「おつりは?え、丁度?何でそんな高いパンツ買うんだよ!」
「これがオシャレで素敵って店員さんが薦めたから・・・」
「あちゃー、俺は給料日前で苦しいんだよ。明日銀行行って降ろさなきゃ、残高あったかな・・・」
「あかんかった?でもな、凄く可愛いんよ。後で履いたとこ見せたげる」
俺は頭を抱えて牛丼を掻き込むと予定のタバコを我慢して部屋に戻った。
部屋に戻ってトイレから出てきた由美はパンティ一枚だった。
「ねえ、見て。大人っぽいでしょ?こんなん一遍履いてみたかってん、な、色っぽいやろ」
ジャージを胸に抱え、お尻を振ってみせる。なんと紺色のTバックだ。高い訳だ。どうせイチゴの絵のパンツでも買ってくると予想した俺が甘かった。
「あのな・・・いいから早くジャージ履けよ」
「もっと見ててええんよ」由美のお尻はまだ小さく小ぶりだった。 つづく