コロンブスは卵を立てるのに、
殻の一部を割って直立させました。
それを見た人は「なーんだ、こんな簡単なことは俺にもできる」って思ったそうで、
コロンブスは評価されませんでした。
この手の発明の中で、
私が「素晴らしい」と心から思っているものに、
銀行の窓口と行列があります。
以前は銀行に窓口が三つあれば、
そこに並ぶ列も三つありました。
運悪く自分が並んだ列の前の人がモタモタしていると、後から並んだ別の列の人が先に用事を済ませてしまいイライラがつのります。
でもいつの間にか、
列が一つになり、
列に並ぶ人のイライラは解消されたのです。
紀元前から列に並ぶと言う行為があったのに、
一列に並ぶと言う仕組みになったのは数十年前からです。
その間、何億人と言う人が列に並んでいても、
この仕組みに気がつきませんでした。
凄い発明だと思うのですが、
この仕組みに気がついた人の名は歴史の記録に残っていません。
今はピストルを両手で撃ちます。
ピストルは両手で持って狙った方が確実に命中率が上がりますが、
数十年前まで片手で撃つのが当たり前でした。
「ピストルは両手で撃ちましょう」って気がついた人の名前は分かっているようですが、
あまり有名ではありません。
ピストルは火縄銃ができて直ぐに誕生しましたが、
両手で撃った方がよく当たると気がつくまで数百年もかかっています。
物事を単純にすることで、
色々なものが便利になっていますが、
残念ながら単純にした人は評価されない傾向にあるようです。
コロンブスと同様に「こんな簡単なこと、俺にもできる。たいしたことはない」って思われるのでしょうね。
世の中には、言われてみたら
「そんなこと、自分にも簡単にできる」って言うものがいっぱいあるような気がします。
問題はそんな「単純なこと」を躊躇わず実行できるかどうかなのだと思います。
最先端技術を駆使するのも良いのですけど、
私たち零細企業が目指すのは、
単純で誰でもできることを実行することじゃないかって思うのです。