もう20年以上も前のことです。
当時、私が印刷会社の営業として担当していた、
某不動産会社の社長が
営業部員を集めてこうおっしゃいました。
「君たちの仕事はもちろんマンションや土地を売ることだ。
でも、もっと大切なのは、
お客様の本音を知りご要望と言う情報を集めることなんだ。
我が社の中でお客様と直接接することができるのは君たちだけだから」
既にバブルがはじけた後でしたから、
不動産業界の業績は良くありませんでしたが、
その会社は大きく成長することができたのです。
一歩堂のような小売店の務めも同じかもしれません。
メーカーは靴を開発するにあたり、
当然社内の人達に試し履きをしてもらい、
改良を加えて行きます。
直営店を持っているメーカーはお店でデータを得ることができます。
でも、一歩堂のように色々なメーカーの靴を扱う小売店と違い、
他社との比較をするのは難しいのです。
一歩堂はメーカーに新商品がお客様からどのように評価されているのか?
他社製品と比較してどうなのか?
を、伝えることができます。
こうした情報をメーカーに伝えることで、
次のシーズンにメーカーはより良い製品を作ることができるのです。
これこそ、
靴メーカーも、小売店も、お客様も喜ぶ仕組みだと思うのです。
もちろん、これは「当たり前」のことです。
でも、こんな「当たり前」が意外とできないのです。
20年前は大手企業の高学歴の優秀な社員が誰一人気がついていませんでした。
私もスタッフに言われるまで気がつきませんでした。
案外、商売のヒントって、
「当たり前」の中にあるのかもしれませんね。