08/04 Aber eins あーばーあいんす vol.2 | いぽぽぽぱんぱのブログ

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主に聴きに行った演奏会のことを書こうかと。

新潟市で2011年から演奏会に頻繁に行くようになりました。
主に地元で活躍されている演奏家さんメインです。
楽器経験もなく技術的なことはまったく書けません。
素晴らしい、楽しいなど抽象的な感想になると思います。

ピアノ:斉藤晴海さん
ソプラノ:吉川かおりさん

ピアノの斉藤さんが企画する「Aber eins」の第2回目。
このシリーズはピアノの中でも「伴奏」だったり「アンサンブルピアノ」にスポットライトを当てるという特徴的な公演となっているんですね。

国立音大の現役生の皆さんの公演後、新潟祭りの民謡流しの交通規制が始まる前に新潟駅前に移動。ちょっと休憩しつつ時間を調整してから会場のスペースYへ。

定刻に開演して、まずはレクチャーから。
チラシなどでは公演内容として「演奏前にひとりごと、ちょっとお話させてください」ということが記載されており、単なる演奏だけでなくこういったことがあることは了承すみ(笑)。

その中で、
(1) ピアノが自分の演奏にがんばりすぎて、歌と伴奏で喧嘩してしまうような感じになってしまう例
(2) ピアノが遠慮するあまり消極的になりすぎて、物足りないようになってしまう例
(3) ピアノが歌手の意図するところに向かって、うまくリードし調和するような例

が実演されつつ、伴奏というのは楽器と楽器、人と人とで立体的に曲を作り上げていくというようなことも。私なんかのレベルだと、もちろんこうやって連続して解説付きで演奏してもらえれば、いかにも(3)が「お~、お見事」とわかるのですが、通常の演奏会で(1)や(2)の演奏になっていたとしても、「そういうもの」と思ってしまって「もっとこうすればよいのにな」とは思うようなことはなく、結果的になんとなく「私の好みには合わないな」となってしまうと思うんです。

ただ、「好みに合わない」だと、それは次回には改善は見込まれないわけで「次の演奏会に行こう」というモチベーションにつながらないのかな、と。だからこそ、一期一会というか1回1回の演奏が大切なんでしょうね。

また、演奏者も決して意図的に(1)や(2)の演奏をしようとしていることはなく、良い演奏をしようとしているのは間違いないわけで、だからこそ、演奏を客観的に見つめて、指摘する人が重要なんでしょうね。
演奏者のプロフィールで「○○に師事」というのがずら~っと並ぶのもこういったことなのかな、と。

今回のレクチャーを受けてみて、なんていうかちょっと飛躍しすぎなところはあるかもしれませんが、こんなことが頭の中で進んでいました(汗)。

また、さらなる興味として、
・今回は歌曲の「伴奏」でしたけど、楽器とのソナタなどで「伴奏」ではなく「アンサンブル」の場合

 

・今回は演奏会でしたけど、コンクールや発表会の場合(主役の方の技量との兼ね合いもあるでしょうし)

などなど、根っこの部分は同じなんでしょうけど、細かいところではいろいろ気を使うことも多いと思うのですが、そういったところもいずれお話を聞いてみたいな、とか、そんなことを考えてしまいました。

レクチャのあとは通常の演奏会形式。

 

ゲストの吉川さんは実はちゃんとした演奏は聴いたことはないのですが、2年くらい前に可児さんで偶然お会いして、そこで店内で1曲聴いたことはあります。

 

そのときにも素晴らしい歌声で可児さんのガラスが震えるくらい(笑)の大迫力が印象的でしたが、今日もスペースYという空間で、素晴らしい歌声が響き渡りました。


とにかく声量が豊富ですし、歌い始めから安定しているし、高音も綺麗ですし、素晴らしい歌い手さんですね。

もちろん、そういった声質とかだけではなく、表現力というか惹き付けるものがあります。やっぱり、この日の目玉ともいえる「ペトラルカのソネット」では、情熱たっぷりに愛を歌ったと思えば、ちょっとハプニングが起きてドキドキさせるようなところだったり見事な歌声でした。

今回は「レクチャー」のあとの演奏ですからある意味「お手本」的なところもあるとは思うのですが、さすが斉藤さんがゲストとして選んだ方だな、と納得してしまいますね。

 

まさしく、スペースYも震えました。吉川さんは来月にはイタリアへ留学予定とのこと、さらなるご活躍を期待です。

ただ1点個人的に残念というか失敗したのは、この日は対訳つきの歌詞カードが配布されていました。私は普段はあまり歌詞カードはみないで、歌い手さんを見ていることが多いのですけど、今日は時折歌詞カードを見ながら聴いていたのですが、そのため、吉川さんの演出でお花を観客席に投げ入れる場面とかを見逃してしまいました...無念。

斉藤さんは歌い手さんやピアノ奏者にコーチをする「コレペティトール」としての経験もありますし、これだけ信念と誇りをもって活動されるのは素晴らしいことだと思いますし、新潟の音楽界にとっても貴重なことだと思います。

(スペースY 2000円)