チェンバロ:笠原恒則さん
フルート:市橋靖子さん
ヴァイオリン:廣川抄子さん
ヴァイオリン:庄司愛さん
ヴィオラ:佐々木友子さん
チェロ:渋谷陽子さん
笠原さんのチェンバロリサイタル。笠原さんはアンサンブルも含めて普段から数多くの公演を開催されていますけど、今回は「笠原恒則 リサイタル」ということで完全に前面にでてくるのは結構珍しいのかな、と。
そんな風に思っていたところ、ちょっとお伺いしたところこういった公演は10年ぶり、とのことです。
プログラムも王道とも言うべきオールバッハ、
そして、内容も
・鍵盤奏者として
・アンサンブル奏者として
・通奏低音奏者として
・協奏曲ソリストとして
をそれぞれ演奏するという非常に意欲的なプログラム。
また、「鍵盤奏者として」以外の曲に関しては当然お一人ではできないわけで、共演者の皆さんも贅沢なメンバが参加されているな~、という印象です。
開場時間ちょい過ぎくらいに会場のスタジオAへ到着。
2列目に席を確保し、開演を待ちます。開演までに受け取ったプログラムを見ていたのですが、それぞれの曲解説とチェンバロの役割みたいなことがびっしりと。
それも、既存の解説本の抜粋等ではなく、すべて「笠原さんの言葉」で記載されています。
まあ、普段から笠原さんの公演のプログラムでは解説もこだわったものが多いですがそんなところも「さすがだな~」と。
時間となり笠原さん登場。普段ならチェンバロの説明などトークを交えての進行となることが多いですが本公演は伝えたいことはプログラムに記載したということで、途中でのトークはなしでの進行となりました。
まずはチェンバロソロ。チェンバロが壁側に非常に近いところに配置されているのもちょいと珍しいですけど、すべては音の響きを少しでもよくするということなんですね。
そして、いかにも「宮廷音楽」というか、チェンバロの軽やかで綺麗な響きを堪能させていただきました。
続いては、共演者にフルートの市橋さんを迎えてのソナタ。
市橋さんというと風景旋律とかユーフォルビアに代表されるように、いつもにこにこ楽しい雰囲気というイメージが強いですけど、今日は本格バロック、、、、なのですが、市橋さんは楽しそうな雰囲気なのはさすがです。
ただ演奏はチェンバロとフルートの華やかで美しい音色、さすがという演奏ですね。良かったです。
チェンバロの再調整の時間も兼ねた休憩後は、弦の皆さんも含めての管弦楽組曲。
チェンバロもカバーを外して、向きも縦向き(笠原さんが正面に向かう感じで)に配置換え。
そして左右に弦の皆さんを従えて、ソリストとして市橋さん。
この曲としては主役は「市橋さん」ということになるのでしょうけど、今回の公演の主旨としては普段ならさらっと聴いてしまうチェンバロにも注目。
そういう目で見てしまうからだとは思いますけど、しっかりと周囲を把握しつつ、しっかりとまとめ役となっていました。そして弦の皆さんの音もやさしくも華やかに、空間にしみわたるようで、ひっかかるところがないというか、やさしい響きですよね。
もちろん、ソリストとしての市橋さんもかっこよいですよね。お見事です。
そしてプログラム最後はチェンバロと弦の皆さんによるチェンバロ協奏曲。
チェンバロと、弦の響きの見事な調和でした。プログラムにも記載されていたチェンバロの旋律が「ヴァイオリン的」というのは正直自分ではよくわかりませんでしたけど(汗)、心地よい響きです。
チェンバロが主役の曲だけあって、なかなか手数が多いというか非常に華麗で聴かせどころたくさんですけど、弾いている姿はそういう熱というか大変さが伝わりづらいというのもチェンバロらしいところだな~、なんてことも(ひねくれた感想ですみません(笑))。
あとは弦も非常に美しかったですね。特に2本のヴァイオリンのユニゾン的な音色が印象に残りました。
アンコールは正式には未完だったけど、他の曲(教会カンタータ?)にもネタが含まれているという(うまく理解しておらずすみません)、協奏曲8番で締めとなりました。
すべてバッハの曲というだけでなく、これだけのプログラムを企画し、それを実際に演奏するというのはなかなか大変なことだと思いますが、笠原さんの充実振りを感じられましたね。
チェンバロのいろいろな役割と魅力を感じさせてくれる素晴らしい公演でした。
(スタジオA 2500円)