チェンバロ:笠原恒則さん
辻音楽師(笑)のグループ「楽路歴程」さんが、それぞれ主役をつとめる4日連続での公演(1/27-1/30)の1日目。(チェンバロの笠原さんは全日程に登場ですけど)。
1日目の主役は歌/リコーダーの大作さん。
プログラムは現在三条市にお住まいという松崎泰治さんのチェンバロとリコーダーの組曲を間に挟んで、メインは武満徹さんのうたという構成。
私は大作さんのうたは何度か聴いたことがありますけど、大作さんの歌は演劇というか舞台での経験がベースとなっていて独特の雰囲気をお持ちなんですよね。
(逆に声楽を専門に勉強されたことはないそうです)。
ちょっと素朴というか飾り気のない分、歌詞というか言葉の持つチカラが直接伝わってくるかのような。ときどき聴くと「あ~、これだ」とほっとするような感じもします。
武満さんの歌の曲は武満さんの他の曲の作風に比べると、非常に美しく聴きやすい曲が多いということで、歌詞の面白さも含めて、心地よく聞かせていただきました。
またそれに反して、前半最後に演奏されたチェンバロソロのために書かれた曲「夢見る雨」。
この曲はチェンバロソロの曲ですけど、武満さんの作風らしく複雑な感じのする曲。
大粒の雨が庇に当たったときの音のように、不規則で脈絡のない音のはずなのですが、時々リズムがあってきたりするような、面白い演奏でした。
笠原さん自身、この曲は初披露ということでしたけど、確かに今までの笠原さんの公演ではあまりなかった雰囲気の曲ですね。
また笠原さんのトークでもおっしゃられていましたけど「雨で、ちょっと不思議で、でも綺麗」というというと、画家の山口達己さんの雨の絵を連想させますね。ギャラリーになかったのはちょいと残念。
中盤は松崎さんのチェンバロとリコーダーのための組曲「過ぎ行く季節に」。
四季の美しさが綺麗に表現されていました。
ちょっと面白いと思ったのは組曲が 秋→冬→春→夏 という順番になっていたこと。なんとなく日本では四季というと春夏秋冬か、1月からスタートの冬からというイメージがあるのですけど、秋スタートの曲というのはなかなか珍しいのかな、と。
この曲では大作さんはリコーダーはアルト2本とテナー1本の計3本を使い分け。そんなのも見ていて楽しいです。
終盤は再び武満さんの歌。武満さんの歌の中でも特に人気のあるという「小さな歌」と「三月のうた」が演奏されたあと(私は「翼」が好きですけど)、最後は「死んだ男の残したものは」。
今回の一連のプログラムは非常に心地良い曲が多かったですけど、この曲は無防備に聴くとちょっとショックを受けてしまうので、ちょっと身構えて緊張しつつ聴いていました。
なんど聴いても突き刺さってきます。
ちょっと重くなった雰囲気をアンコールで再びさわやかに戻して終了となりました。
4日連続で、それもまったく違う内容で公演を行うという企画力と行動力に敬意を表したいですし...一番わかりやすい敬意の表しかたとして、4日間とも観にいこうかな、と予定しています(笑)。
1日目も素晴らしかったですし、2日目以降も楽しみです。
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(ギャラリー蔵織 1000円)