蜂蜜が巣を作るときに分泌する蜜蝋を主原料にして植物性の油性成分と合わせてワックス状にしたものだ。
弦楽器はニスで仕上げられている為、一般的に手入れをする場合、ボディに関しては練習後に松脂を落とすと言う程度となるが、ネックや指板と言う手が触れる部分はニスも塗っておらず(ネックは塗ってるが、殆ど薄い)、ここも綺麗に拭いておかないと汗などが染みこんでトラブルとなる。
何か楽器の手入れをするのに良い物は無いかと思ってたところ偶然ネットで「蜜蝋ワックス(クリーム)」の存在を知った。
この蜜蝋ワックスは様々な効果があるが自分は撥水性と言うところに注目した。
天然素材であり撥水性が高いなら、ネックや指板に使えないだろうか?と思ったからだ。
調べると、この蜜蝋ワックスと言うのは非常に多くの製品があり、その中で、文字通り「濃い蜜蝋ワックス」と言うのを購入してみた。
成分は全て天然素材で手が触れる場所も全く問題無い。
先ず、最初はネックに塗ってみたところ、ワックスと言う(ベトベトした)イメージからは程遠い、非常にサラッとした感触だ。
説明では「しっとりとした上品な艶」とあるが、しっとり=湿気=引っ掛かりと言う感じで無く、ツルツルでは無くサラサラと言う感触の違いで微妙だが、一言で言えばサラッとした感触。
親指の滑りも良く、指板へ塗布してみたらこちらも同様の感触で、見た感じは確かに「上品な艶」と言うか自然な感じで特に何か塗って光ってると言う感じは無い。
指板やネックが問題ないならニスの塗ってあるボディは当然問題ないので、その後ボディへも使ってみたところ、あちこちに入っていた小傷が目立たなくなった。
この楽器は作られて10年程経過しているからか、ニスの小さなヒビ割れが全体にあり、ワックスを塗ることでこのヒビ割れ部分から進入する湿度も保護する働きも期待出来る。
気を良くして、弓の棹の部分や革の部分も塗布しているが、何処の部分も実にサラッとした感触と艶が心地良く、何れの場所も特に何かを塗布していると言う感じは無い。
ボディに関してはニスの上から塗ってる為光ってるので、こちらはサラピカと言う感じだが、多分、松脂が楽器に付着する事も防いでるのでは無いだろうか。
弦楽器専門店などで販売しているクリーナー類は研磨剤が入っていたりするので、それこそ楽器のニスなどには良くない筈で、それに比べれば遥かに良いだろう。
と、ここまでは非常に良いことばかり書いたが、欠点もある。
それは「臭い」
これは人によって印象が違い「ログハウスの臭い」と表現してる人も居るが、自分は、人が住んでない古い家などに入った時にする埃の混じった「カビ臭い」「古臭い」臭いと言う印象だが、臭いがする。
これは蜜蝋特有の臭いらしく、塗ってると香ってくる。
塗った後も暫く香りが続くが、2,3日経つと無くなる様なので(もしかすると慣れてる?)気にしないし、古い臭いは楽器にはまあ似合わない事も無い(笑)
もちろん、これは売ってる製品によっても異なる様で、臭いが強い物もあるらしいが、自分が購入したものは「濃い」とある割にはそれ程臭いは強くないのでは無いだろうか。
もう一つの欠点は1缶が結構高い事(以下の缶で1,400円)
- 濃い蜜蝋ワックス (100 グラム)/Vicolo di Orvieto
- Amazon.co.jp
蜜蝋ワックスは1年などと言う単位で効果の持続性が高い様なので、ボディなどは1度塗ったら暫く塗る必要は無さそうだ。
蜜蝋ワックスは弦楽器の世界では殆ど使われてない様だが、ギターの世界では同様に指板などに塗ってる人も居る様だ。