コントラバス弾きがチェロを弾く効能 | iPhone De Blog

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2009年12月7日からスタート
iPhone3GSからiPhoneユーザのLEONがiPhoneやAndroidなどを中心にしたデジタル系ガジェット、IT関連ネタ、趣味のコントラバスやチェロを中心としたクラシックネタ、2022年から始めた自家焙煎に関する話や日常の話まで幅広く書いてます。

最近、チェロばっかり弾いてるんだけど、逆にコントラバスでのオケの本番予定は増えてるので、コントラバスを弾くのは一向に減らず、寧ろ前のオケを退団する前よりも絶賛増加中



4月までは毎週土日何れかは何処かのオケで合奏の予定が入ってて、2月末は割りと空いてるなぁ~と思っていたら、急に本番が入って来たりって言うね。

最近はホームオケでのんびり弾いてたので忘れていたが、そう言えば、コントラバスと言うのはこうやって頼まれて弾きに行くものだったと言うのを思い出した苦笑

とは言っても、自宅でコントラバスを弾く時間が増えてるかと言えばそれは無い顔に縦線

これは昔からなんだけど、コントラバスだけやってる頃から家ではソロしか練習して無かった。

自分にとってはその時間がチェロに変わっただけで、コントラバスのソロを練習してるのかチェロを弾いてるのかと言う違いしか無い。

事、コントラバスの場合はオーケストラとソロは全く違うものと言って良い。

先ず殆どの場合は一番高いG線の1オクターブ上が主戦場で、下りても2番めのD線くらいだろう。

音楽の流れやアルペジオなどの都合から下へ来る場合もあるが、旋律は大抵は上2本で、下2本を使う頻度は極端に低い。

これはチェロのソロでも同様で、エルガーの「愛の挨拶」なども上2本のみで済んでしまう。

こうなると、ソロばっかり弾いてるとハイポジションから上は押さえられても低い方の弦、コントラバスだとE線などの太い弦を押さえるとヘロヘロと言うことにもなりかねない(実際あった)

僕がチェロでオケスタをやろう=オーケストラへ入ろう!と思ったのもチェロでソロばかり弾いてるとその二の舞いになりそうだったと言う事もあるが、コントラバスのソロと比較すると、チェロはオーケストラで使うコントラバスと左手に関してはそれ程差がない。

ソロと言ってもコントラバスと比べるとハイポジションが出てくる頻度も少ない。

その為、コントラバスでソロばかり弾いてるよりはチェロを弾いてる方が左手は遥かに鍛えられる。

チェロの方が音符の数も多く、4本の指をフルに使う(コントラバスは低いポジションでは薬指は使わない)。

弦の太さが違うからコントラバスの方が楽だろうと思うのは素人(笑)

学校の先生は夏休みがあって良いとか思うのと似たようなもんだ。

実はチェロでもコントラバスでも弦をピシっ!と押さえる瞬発力はそれ程差がない。

じわっとじゃなくピシっと押さえないと右手で弾いた時に音の立ち上がりが悪い為、その瞬発力に関して言えばチェロもコントラバスもそれ程差がない。

また、その後長く押さえる場合、フォームが綺麗で指の腱がある程度張っていれば後は腕の重みの仕事なので握力などに相当する力は必要ない。

自分の経験では、チェロの一番高い弦(A線)などは弦が細い分、コントラバスのG線なんかよりピシっと押さえないと音が立たないので瞬発力はチェロの方が必要な気がする。

つまり、太い弦は少々指の芯を外しても何処かが当たっていれば指板に当たるのだが、細い弦の場合は芯を外すと指板に綺麗に当たらない為、細い弦の方が精度が必要となる。

ちなみに、これ、「バチバチ」じゃない。

「バチバチ」と音がするのは指が上がり過ぎてて無駄な距離がある為で、当然無駄な動きがあるので動きも悪くなり、指も痛めやすい。

出来るだけ弦に近い場所でピシっと言う感じ(弦を押さえた時の音のイメージは「プン」と言う感じ)で押さえる。

当然、チェロの弦高はコントラバスより低いので、チェロ短い距離で押さえる習慣が付けば知らず知らずにコントラバスでも同様に短い距離で押さえる様になり速く弾くのも超絶楽になる。

また、チェロにはExtentionと言う秘技がある


チェロを始めるまで知らなかったが、1-2(人差し指、中指)間が半音になったり全音になったりする押さえ方を普通にやっていて、全音の場合などはハッキリ言ってコントラバスの半音なんかより遥かに広い。

コントラバスでも1-2が狭くて音程が悪くなりやすいが、チェロでも全音で開く場合は音程が悪くなりやすく、チェロでこれを一生懸命開く練習をしていれば、コントラバスの1-2の半音なんぞ楽勝となって音程も良くなる。

また、コントラバスでもネックに近いポジションでは3(薬指)を使うフォームが使える程度に半音の幅が狭くなるので、場合によっては4本全てを使うことで演奏が楽になることも多い。

実際、チェロを弾くよりも随分前の30代の頃に、僕はネック付近のポジションを4本指(4フィンガー)で弾く練習を随分やった。

それはコントラバスの名手ゲーリー・カーがそう言う話をしていたので影響されたのだが(笑)、A線から1オクターブのEのスケールなどノンシフトで弾けるようになる。

逆にこれをやっていた為、チェロで3(薬指)を使う事に違和感無く入れたのかもしれない苦笑

但し、コントラバスとチェロではネックの太さが違う為、ネックの裏側の親指のフォームが若干異なる。

コントラバスはこの様に指が伸びるが


チェロはこの様に親指が軽く曲がってネックの裏側に当てるようにする。

上から見ると「C」の字になると言う感じだが、師匠からも常に「丸く」と言われているがリラックスが大切で、実はこの「C」は弓を持つ右手でも同様に出来る。

チェロの弓でもコントラバスのフレンチ弓もジャーマン弓でもこの「C」字の様に丸くリラックスするのが大切だ。

左手の話に戻るが、コントラバスで親指を伸ばしてるとついネックを握りやすく(押さえつけやすく)なる。

そうなると力が入って動きも悪くなるので、伸ばした状態で親指に力を入れずに当てるだけ。と言うのは中々出来ない。

実は僕も親指をネックに押し当てる癖があって、最近、コントラバスを弾く頻度が下がってた為、少し長い時間弾くとこの親指が疲れる
と言う事に気が付いた。


弾いてる時間が少なくて、親指でネックを押さえつける力が弱っているのだろうが、これは逆にチャンスと考えて
苦笑

ビブラートを掛ける時とかはチェロの様に親指を少し曲げて軽く当てるだけにして押さえてみたらこれが非常に良い具合に掛かる。

もちろん、このままの状態でシフト出来れば親指に無駄な力が入らず握ってないので動きも速い。

最近は意識してチェロの様に押さえるようにしているが、自分の悪い癖を抜くメリットもあった。

また、右手に関して言えば、チェロの弦はコントラバスより遥かに細い。

こう言う細い弦でppを美しく弾くのは非常なテクニックが必要で、そう言う繊細なコントロールを右手でやると言うのはコントラバスでも非常にプラスになる。

もちろん、コントラバスのフレンチ弓のコントロールはより近いので練習になるのは間違いないが、最近、ジャーマン弓も使ってて、普段チェロで微妙なコントロールをやってるのでジャーマン弓での弓先でのppのコントロールなども非常に楽になった。

ジャーマン弓と言うのは手元は扱いやすいが構造と持ち方の関係で弓先が扱い難い。

普段からチェロの弓を扱っていればコントラバスのジャーマン弓は非常に楽になる。

僕はコントラバスのフレンチ弓からチェロへ行ったが、チェロを弾いていれば、当然、コントラバスのフレンチ弓を使える様になる


又、オーケストラの本番や練習でffなどでブンブンとジャーマン弓を振るった後にチェロを弾くと右手のコンセントレーションにも繋がる。

先日のチェロの公開レッスンで講師のFさんも同様の事を言われていてオーケストラでガンガン弾いた後は右手の動きを調整する為、高次倍音が出る場所を押さえてゆっくりボウイングをしながら、裏返った高い倍音では無く、すぐ上の倍音が出るように弾く様なメッソドをすると言われていたが、これによって右手のコンセントレーションを行っているのだ。

とまあ、こう書くと良いことばかりの様だが、マイナス面もある。

一番は楽器の維持費
苦笑

やはり2種類あれば維持費も2倍だ
顔に縦線

それと、楽譜を読んでる時に混乱する。

コントラバスとチェロでは弦の並びが異なるのだが、これが完全に異なる訳では無い。

上から2番めの弦は同じD線で、それを中心に上下が入れ替わった形になってる。

コントラバスは上がGで、下はAだが、チェロはその逆で上がAで下がG
苦笑

つまりちょっと間違うと1音違う事になる訳で、弦の音が近い為、混乱しやすい。

一番下はコントラバスがE、チェロがCで全く違う為、意外にこれは混乱しない。

この辺りのデメリットはあるものの、実際に弾いてみたりチェロの事を知るのはコントラバス奏者には非常に良い。

僕のコントラバスの師匠もアメリカでシャピロと言うチェロの名手に習ったことがあると聞いてるが、そこまで行かなくとも興味を持って弾いてみるのは悪くない。

コントラバスだとすぐにハイポジションになる難しい名曲でもチェロで弾けば意外に容易く、ソロ曲も楽しめる。

オーケストラでもそうだが、コントラバスがこんな事をやってる時にチェロはこんな事をやってる。とかも一層理解できる様になるし、この場所はコントラバスの方が音程が良い、チェロの方が音程が良いと言うのも理解できる様になれば、音程が合わない時の解決策も出しやすい。

実際、僕も、今ブラームス1番をチェロで弾いてるが、コントラバスでは何度も弾いていても他のパートの事まで詳しく理解してなくて、「こんなことをやっていたのか!」と言うのを発見すること頻り
苦笑

楽譜の音符の量も遥かに多く、楽譜の音符を追う訓練にもなるのでチェロの楽譜を見慣れればコントラバスの楽譜を見るのは楽勝となる。

もちろん、オーケストラでも普通にハ音記号、ト音記号が出てくるので読み替えの訓練にもなる。(幸い、自分は既にコントラバスのソロでハ音記号やト音記号はサッと読める様にはなっていたので違和感なく読めるが)

結局、チェロを始めてみてコントラバスのマイナスとなったと思ったことは全くない。

そこのコントラバス弾いてるあなた


チェロを弾いてみない?