ちなみに、沈没船ジョークとはこんなものだ
『世界各国の人々が乗った豪華客船が沈没しかかっています。しかし、乗客の数に比べて、脱出ボートの数は足りません。したがって、その船の船長は、乗客を海に飛び込ませようとしますが…。さて、船長が各国の人を飛び込ませるために放った言葉とは何でしょう?
アメリカ人に対して・・・「飛び込めばヒーローになれますよ」
ロシア人に対して・・・「海にウォッカのビンが流れていますよ」
イタリア人に対して・・・「海で美女が泳いでいますよ」
フランス人に対して・・・「決して海には飛び込まないで下さい」
イギリス人に対して・・・「紳士はこういう時に海に飛び込むものです」
ドイツ人に対して・・・「規則ですので海に飛び込んでください」
中国人に対して・・・「おいしい食材(魚)が泳いでますよ」
日本人に対して・・・「みなさんはもう飛び込みましたよ」
韓国人に対して・・・「日本人はもう飛び込みましたよ」
北朝鮮人に対して・・・ 「今が亡命のチャンスです」』
都知事選が人気投票の様になったりするのも同様で、テレビの著名なコメンテーターなどの話を頷きながら聞いてるのは良く見る風景だ。
先日、チェロの情報をネットで調べていた時に「カザルス巻き」なる話を見つけた。
寿司ネタの様な名前だが、この巻き方をすると楽器が鳴るらしく、カザルスがやっていてヨーヨー・マもこれをやっていたなんて話が書いてあった。
弦楽器は弦がある為、それを巻き付ける糸巻きと言う物があるのだが「カザルス巻き」と言うのは、その巻き方の事らしい。
どうやるかと言うと一般的にC線を巻くペグにG線を巻いて、同様にG線を巻くペグにC線を巻くらしい。
ちなみにこれは普通の巻き方で一番左側のC線が下側のペグに巻かれている。
こちらはカザルス巻と言うもので、一番左のC線が上のペグに巻かれている。
実は僕のコントラバスでは、この巻き方を高い弦でやっている。
コントラバスは一番高い弦がG線、その次がD線だが、これを入れ替えている。
これは楽器が良くなる為では無く、僕の楽器は古い楽器だからと言う訳ではないがペグBoxの出来が悪く、通常の巻き方だと、太い方のD線がG線のペグにしっかり当たってしまい、G線を回すとD線の張弦へ影響する為に入れ替えていて、音響の為では無い。
話を「カザルス巻き」へ戻すが、僕は自分で納得出来ない場合、どんな有名人や名人が言おうと疑って掛かる悪い癖がある(実は悪いとは思ってないが)。
先ず、名前からして怪しいので、本当にカザルスがそんな事をやっていたのか調べてみたが、何せ随分前の人で写真などを見てもペグBOXの中がしっかり写っている物は無い。
そこで、YouTubeで何か動画が無いか探してみたら、1960年に開かれたマスタークラスの動画があり、その幾つかの動画の中で一瞬アップで楽器を立てるシーンがあるのを見つけたのがこれだ。
見た通り、普通に巻いている。
少なくともこの時期のカザルスは十分円熟期で最終形であろうと考えられるので「カザルスもやっていた」なんて話は信頼性が低いと思われる。
しかし、この逆の位置に巻く=ペグBOXの中でC線とG線の長さが異なる事で何らかの影響があると言うのは否定しない。
実は弦楽器のテールピースにはこの様な形の物が近年作られている。
これは駒からテールピースまでの弦の長さを同じでは無く、変えることでより楽器を鳴らすと言うコンセプトのテールピースだ。
この駒からテールピースまでの長さをアウターレングスと言うが、実はこのアウターレングスはナットとペグBOXの中でも同様に影響する様で、これに関しては詳しく紹介しているブログも幾つかあるので割愛するが、要するに、「カザルス巻き」と言われる巻き方もカザルスがやっていたと言う話に関する信憑性はともかく、全く意味が無い訳では無く何らかの影響があると言う事は言える。
先ず、考えられるのはアウターレングスを長くすると、長くした方がより振動すると言う事で、この辺りは実験等で既に確認されている様で、上記のテールピースも同様のコンセプトで作られていて、低い弦程アウターレングスが長くなるように設計されている。
恐らく、ペグBOX内のC線側を長くすると、C線はそれ以前より良く鳴る様になる筈で、反面、G線のアウターレングスが短くなるので、もしかするとG線は鳴りにくくなるかもしれない。
と言うところまで仮説を立てて、先の写真の様に巻き方を変えて弾いてみた訳だ。
弾いた感想は、仮説の通り、C線は一層鳴る様になり、G線は左手や弓に抵抗が増えた感じで伸びが感じられなくなり音が固めになった感じだ。
結論から言えば、僕の弦のセッティングでは合わないと言う事で、元に戻した。
ちなみに、僕の弦のセッティングは
C線 スピロコア ヴォルフラム
G線 ラーセン マグナコア
D線 エヴァ・ピラッツィ ソリスト
A線 オブリガード
と全て異なる(笑)
もちろん、各弦の特性を考慮して張ってるので入れ替える必要は無かったが、もし、セット弦などでC線が物足りない。と言う場合には入れ替える事でC線が強調される可能性はある。
例えば、G線が少し柔らかく、C線がちょっと張りが強くて固いセッティングなどの場合、入れ替える事でバランスが良くなる可能性はある。
しかし、弦の種類も豊富な現代では、組み合わせ次第で好みのセッティンが出来る為、僕のように好きな弦を組み合わせれば済む事だろう。
もし、100歩譲ってカザルスがやった(言った)としたら、つまり、何か問題がある時の手段の一つとしてと言う意味で、常にそうやっていたのでは無いだろう。
ちなみに「出来るだけ少なく巻いて余った弦を切る」と言う事も言ったらしいが、これはウルフキラーを見れば分かるようにペグBOX内部の弦の質量が変わることで何か音に影響があると言うのは感がられるが、そこまでやる必要も無いだろう。
当然だが、これはA線、D線でも同様の事が起きる筈だ。
僕はこのA線とD線を入れ替えるのもやってみたが、こちらは良かった(笑)
A線に関しては特に不満は無かったが、以前からD線は、何を張っても柔らか過ぎる感じでどちらかと言うとG線に近い鳴り方をしていたのが不満だった。
この2つを入れ替えてみたところ、A線は倍音が増える(響きが良く残る)鳴り方をする様になり、D線は若干固めになってA線に近い鳴り方をする様になり、腰のある音になった。
僕のマイ楽器は「良く鳴る」と師匠や某一流プロ奏者からもお墨付きを貰っているが、それでも高い楽器では無く、チェロを始めた時に200万くらいのイタリア製の楽器を3ヶ月ほど借りた経験や、これまで色んな人間のチェロを触ってみた感想では、高い楽器はD線の音色が違う気がする。
A線などはそれなりに鳴ってもD線の鳴りと言うのは中々誤魔化せない様で、恐らく、板厚とか作りの関係だろうが、高い楽器はD線がパーンと前に出る(遠くに届きそうな)音がする。
僕の楽器もそうだが、安い楽器はD線が柔らかくて弾きやすく、良く鳴っている気がするが、遠くに届きそうじゃない音がする。
1人で弾いてる分には気持ちが良いかもしれないが、遠くへは飛ばないだろう。
これがかなり改善された気がする。
もちろん、若干抵抗が増えた感じなので弾きやすい方向ヘは行ってないが、しっかりした音になった。
A線に関してはそれ程顕著に差が感じられなかったが、それは弦が細い(質量が少ない)からと言う事もあるかもしれない。
ただ、それまでよりも倍音が良く鳴る様になった感じで、これは音の伸びが良くなったとも言えるだろう。
暫く、この巻き方で使おうと思うが、何巻きと命名しょうか(笑)
当然、僕の名前など付けても有り難みが無いし、恐らく、高い楽器だと最初からD線は良く鳴る様に作ってある筈なので、安い楽器じゃないと効果が無いだろうからあまり普及しそうにない。