以前、こちらへ投稿しようと思っていたのだがFacebookへ投稿して忘れていた話
チェロと言うのはコントラバスと違って相当「音が立つ」
コントラバスの時は、今でもそうだが、自宅で練習していてもそれ程音が気にならないらしくて家族からも苦情が来たことが無かったが、チェロを弾くようになって、その「爆音」で、たまに「ここ閉めていい?」とテレビを見てる家族から練習している部屋の扉を閉められることがあるので、最近は誰かがテレビを見てる時などはミュートをする様にしている。
以前の記事でも紹介したが、僕は最初、写真の金属ミュートを使っていたのだが、その後ゴム製のミュートを使っていた。
http://ameblo.jp/iphone-fan/entry-11566887399.html
ところが、最近になってゴム製のミュートを使っていて気になるところが出てきた。
普通に演奏している時はともかく、駒に近いところを弾くと右手の指先がミュートへ引っ掛かるのだ。
ミュートをしていると駒よりが弾けないのは問題で、そう言えば金属製ミュートの場合は弦の方へ出てる厚みが少なかったのを思い出して引っ張り出してみたのだ。
ただ、このミュートは前の記事にある様に弦が当たってビビリ音が出ると言う問題があるので「うーん・・」と思って、ふと思い付いたのがこの取り付け方。
普通、ミュートは真ん中へ付けるのだが、それを一つ低い弦の側へズラして装着するのだ。
こうすれば、高い弦の駒よりも幾らでも弾け、斜めに装着するので若干弦との距離が増えるのかビビリ音も無くなった。
この取り付け方の欠点は高い弦の消音効果が若干落ちると言う事。
反面、低い弦はより効果が上がる(筈だ)。
特に、高い方は通常の取り付け方よりも鳴るので消音効果と言う点では問題かもしれないが、あくまでも若干。
何も付けないよりは遥かに良く、何より弾いてる時にミュートが当たることが気にならないのが良い。
特に、ハイポジションを弾く場合は駒よりを弾かなければならないので、ゴム製ミュートは気になる筈で、この装着方法はおすすめだ。
実はコントラバスの場合、ゴム製のトルテを同じ様に装着していて、それで思い付いた。
これは僕の楽器では無いが、コントラバスでは通常写真の様に装着するが、これを一つ低い方の弦へズラして装着している。
一番の理由は装着が楽だからだ。
特に急いで付けなければならない場合などは、A線とE線の間にある方が手が届きやすい。
それ以外に高い方の弦の音色があまり死なないと言うところだが、これはそれ程効果があってるのかは良く分からない。
何故、高い方の弦の影響が少なくなって低い弦で効果が上がるのか?
これは楽器の構造によるものだが、低い弦は主に駒の横振動で楽器が鳴り、横振動は魂柱と反対側のバスバーがある側が振動する様になっている。
駒の真ん中がハート型で繰り抜かれたり横の部分に切り込みがあるのはちゃんと理由があり、これによって弦の横振動が駒の横方向の振動(正確には捻じれ)に変換される様になっている。
こちら側へ重たいミュートを装着すると、当然その重量の為、振動が発生しにくくなり消音効果が発生する。
一方、高い弦の方はつっかい棒となる魂柱がある為、横振動は殆ど発生しない。
しかし、魂柱の位置は通常駒よりもテールピース側に配置される為、この魂柱と駒の位置の差から、駒の前後に高い振動が発生して音が出る様になっている。
その為、こちら側へ異物、特にゴムの様な振動吸収性の高い素材を取り付ける事で高域の振動を減らしているのだが、低い弦の側へ装着して弦との距離を離す事で振動を吸収する影響を減らしていると言う訳だ。
ちなみに、この金属製ミュートのウリでもあるのだが「高い弦の音質が悪くならない」と言うのは、金属がそれ程高域の振動を吸収しないと言う理由もある。
補足だが、こういう構造の為、高い弦をより大きな音で鳴らしたい場合、できるだけ縦方向へ弓を使う方がより大きな振動を発生させる事が出来る。
つまり、駒が横では無く、前後(指板側とテールピース側)に振動しやすくするイメージだ。
駒よりの場所を弓で表板方向へ押さえつける弾き方は、折角前後に振動しようとしているのを止めてしまう事になるので実は駒の振動のメカニズムから言えばあまり良い方法では無い。
チェロバスなら高い弦は外側になるが、外側のウエストに近い場所を弓先が通る様に弾く事で、縦振動をより増やすことができる。
その為、楽器の表板を少し右側に傾けて楽にその場所を通すと言う手段がある。
この意識があるだけでも高い弦は随分鳴る様になる。
先日、某アマチュアオケでヴァイオリンコンチェルトを聴いたが、ソリストが高い弦を弾く時も楽器を客席へ向けて弾いているのが非常に気になった。
いわゆる、オケのセカンドやビオラの様な弾き方をしているのだ。
その為、低い弦はまあまあ聴こえるのだが、高い弦へ行くと今ひとつ音色に張りが無くなってしまう。
ヴァイオリンの場合はチェロバスとは楽器が逆向きになるので、楽器の構造から言えば、高い弦を弾く場合、楽器は客席では無く、背筋を伸ばして楽器をしっかり下から支えて上向きにして弓を上下へ動かすのが最も大きく振動を発生させる弾き方となる筈だ。
低い弦の場合は程よい角度で楽器の表板を右側へ傾けることで振動が伝わりやすい様に弾くことが出来るので、オケのセカンドやヴィオラの様に低い弦が重要なパートはそれで良いのだが、ソリストの場合であれば又違った弾き方が要求されるもので、大抵のソリストは身体でそれを知ってるので自然とそうやってる様だ。