
最近、スティーブン・イッサーリスの「こどものチェロ」と言うアルバムがお気に入りだ

ナクソスでたまたま見つけた物だが、技巧を聴かせる様な曲でも無く、まさにチェロのレッスンの過程で経験するのであろう優しい曲が殆どで、イッサーリスが優しく弾く音色が実に耳に優しい。
比較的有名な曲も何曲か入っていて、チェロの入門にも最適では無いだろうか。
この中で、僕の一番のお気に入りがフランク・ブリッジの「Spring Song」
まさにこの季節に相応しい曲だ。
何処かで聴いた事がある曲ではあったのだが(後から、ダンカン・マクティアーと言うイギリス人のコントラバス奏者のアルバムからと言うのをFaceBookの知人から教えてもらった)、実はブリッジと言う人の作品だとは全く知らなかった(笑)
この曲は「四つの短い小品」と言う作品に収録されていて、例によってIMSLPにアップされていたのでダウンロードしてみた。
実はブリッジどころか、弾いてるイッサーリスすら、このアルバムを知るまで全く知らなかったのだが、素晴らしく上手い。
同じカーリヘーアでもチェリストのマイスキーとは随分演奏の感じが違うと思ったら、イッサーリスはガット弦を使う奏者として有名らしい。
コントラバス奏者としてはチェロのA線の甲高い音はどうも好きになれないのだが、このイッサーリスの音が魅力的だと思ったのはその為だった様だ。
低い弦の若干ノイズを含んだ様な音もコントラバス的で、ビブラートも僕の好きなチェロにしては遅めのビブラート。
まさに一目惚れならぬ、一聴き惚れのアルバムだった。
このブリッジと言う人はイギリスの作曲家でブリテンの恩師と言う事らしいが、ナクソスで何曲か聴いてみたが、中々素晴らしい作曲家で、この「四つの短い小品」の他の曲も佳作だ。
「Spring Song」もイッサーリスの演奏を聴きながら、恐らくこの弦のこの辺を使っているのだろうと推測しながら自分なりフィンガリングを考えて弾いてみた。
こう言う曲の場合、記譜の1オクターブ下で弾く様だが、チェロだと音域的にも全く不自然では無い。
コントラバスなら当然の様に記譜上もう1オクターブ上、つまりハイポジョンで弾かなければ何をやってるか分からないし、出ない音もある。
こう言う曲が無理せずサラッと弾ける楽器と言うのはコントラバスからすればやはり魅力的だ。
元の楽譜はバイオリン用だが、こう言う曲は、僕の好きな宮本笑里さんなどに弾いて欲しいものだ。
彼女なら、きっとこの爽やかな曲がぴったりだろう
