マイクロソフトの新しいタブレット「Surface」 | iPhone De Blog

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2009年12月7日からスタート
iPhone3GSからiPhoneユーザのLEONがiPhoneやAndroidなどを中心にしたデジタル系ガジェット、IT関連ネタ、趣味のコントラバスやチェロを中心としたクラシックネタ、2022年から始めた自家焙煎に関する話や日常の話まで幅広く書いてます。

僕が最初にPCに出会ったのはNECのPC-9801からだが、当時はまだMS-Dosと言われるコンソールシステムだった。

立ち上がっても、真っ黒な画面に、今で言う「コマンドプロンプト」が出るだけで、そこにあれこれ入力して操作する物だった。

その時代からの付き合いになるマイクロソフト=Windowsで、これまで何が一番の魅力かと言うと、OSはともかくハードウエアが色々選べると言う点だった。

その点、ハードウエアとOSが一体のMacは幾らデザインや機能が素晴らしくとも選択の余地が無いという点で魅力が無かった。

自分のニーズや予算に合せたハードウエアを選定出来ると言うのは非常に魅力的であったし、そうやって発展してきたマイクロソフトだが、既に、モバイル市場では完全に出遅れという形になっている。

長年、王者として君臨していたデスクトップやノートなどのPC市場を、これだけスマートフォンやタブレットが席巻するとは思ってなかったのだろう。


それも、PC市場では圧倒的に少数のAppleにかなりの市場を持っていかれている事と、スマートフォンの市場が、実はハードウエアだけでは無く、その周辺のコンテンツまでが莫大な利益を上げることを予見していなかっただろう。

この辺りは完全にジョブズの戦略勝ちだった。


そこで、今更ながらに、Appleと同じ、ハードとOSが一体となった垂直統合モデルの「Surface」を市場へ投入したのだろうが、話題性はともかく、これは長期的な戦略としては、致命的なミスだろう。


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先ず、ユーザが既にこれだけある他のAndroidタブレットやiPadと「Surface」にどの程度の差を感じてくれるだろうか?

「何だか標準で薄いキーボードが付いたタブレット?」と言う程度しか見られないだろう。

又、既に、スマートフォンやタブレットの普及で、これらには膨大なアプリケーションが存在しているから価値があることを知っているユーザが、どれだけ、まっさらな「Surface」に魅力を感じるだろう?

一番の売りは、逆にそれしか無いと言っても良いくらいのセールスポイントである「OFFICE製品が動きます」だ。

それ以外の機能はその他のタブレットと同じであり、寧ろ、Windowsタブレット向けのアプリが全く無い状況では何の価値も無いだろう。

何故なら、これまでのWindowsでのアプリケーションの資産はあったとしても、それらは全てPC向けのアプリケーションだからだ。


それらのアプリケーションは大きな入力しやすいキーボードやマウス、大きくて見やすいモニタがあってはじめて成り立つものだ。

幾らスマートフォンやタブレットが売れたとしても、例えば、「考えただけで入力出来る技術」や「眼で見ただけでポインティングしてくれる技術」と言う様な技術革新があり、尚且つ、それが低価格で普及するまで、現在のPCと周辺技術は健在であり、そういう環境の中で力を発揮する物だ。

僕も、こんな打ちにくそうなキーボードと小さい画面でプログラム開発の仕事をやりたいとは思わないし、一般的な企業で行われる入力中心の業務でも同様だろう。

現在使用しているWindows7で充分だし、Apple嫌いの僕でさへも、この「Surface」を買うくらいなら「MacBookAir」を買う。

マイクロソフトが、何故、これまでの土俵をより一層充実させる方向へ行かなかったのだろうか不思議だが、ある意味分からないでもない。

既に「クラウドコンピューティング」と言われる様に、以前はアプリケーションをインストールしなければ意味が無かったPCだったが、Googleが、Gmailはじめ様々な無償サービスと広告収入というビジネスモデルを構築して以来、それに追従する様なサービスを提供するところが増えてきた為、態々高いお金を払ってソフトを買ってインストールしなくともある程度の事が出来るようになって来ている状況が大きい。

最近流行りのオンラインストレージもそうだが、データさへもPCへ保存する必要がなくなりつつある。


そうなると、PCもインターネット環境と無償で利用できるブラウザ以外は特に必要ない「単なる箱」となっていまい、必要なソフトはExcelやWordと言った企業ユース向けのOFFICE製品や一部の専用アプリケーションだけと言うことになりつつあり、必ずしもPCのOSがWindowsである必要がない状況は進みつつある。

これまでの様に「Windows」と言うブランドは「OFFICEが使えます」と言う意味しか持ち合わせなくなっている訳で、特に日本の場合、業務のデファクトスタンダードであるこれらのツールの主流が変われば、一気に存在価値がなくなってしまう。


「Surface」の発表は、その危機感の現れだと思うが、反面、これは、これまで協業でやって来たハードウエアベンダーへの裏切り行為でもある。

特に、タブレット対応の新しいWindows8を待っている、日本の家電メーカーは痛手は大きいだろう。

これまでは、マイクロソフトがWindowsと言うOSを提供して、ハードウエアベンダーがそれに対応するハードウエアを提供する。と言う縮図でこれまでPCの世界は発展して来た。


この関係を覆して、マイクロソフトがAppleと同様の事をすると言う事は、この縮図が壊れることを意味しており、同時に、Windowsと言うOSの存在価値がハードウエアベンダーの中で一気に下がってしまう事も意味する。


恐らく、一番喜んでいるのはAppleだろう。


既に、ハードウエアとOSの一体型製品としては長年の実績があり、モバイル市場とも連携しているAppleはここで一気にPCの市場を広げるチャンスが来たも同然だ。

Intel Macの場合はWindowsが動く「Boot Camp」と言う環境を用意している為、ハードウエアはMacを基本として必要な場合はWindows7を起動させて使うと言う選択肢もある。


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一方、Androidは元々Linuxである事から、デスクトップOSとしても充分に機能を発揮するし、「Google Chrome OS 」と言うデスクトップ用のOSがインストールされているChromebookやChromeboxがある。


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そう言う意味では、Android勢もチャンスであり、特に、Androidを提供しているGoogleはこれまでマイクロソフトがやって来た手法で多くのハードウエアメーカーを味方につけている為、PCでも同様の戦略を維持するだろう。

こうなると、次期のWindows8は、大手のDELLやHP、国産家電勢ではデフォルトになる可能性はあっても、それ以外の中小のPCメーカーはマイクロソフトからChromeOSへ一気に流れて低価格のPCが投入される可能性があり、市場はあっと言う間に混乱するだろう。
場合によってはマイクロソフトがDELLかHPを買収して一気に巨大ハードウエアベンダーとなる可能性もある。


又、現在、MacをベースとしたiPhoneやiPadアプリを開発するエンジニが増えているが、それはそのままMac用のアプリケーションを開発するエンジニが増えていると言える。


そうなって欲しくはないが、3、4年後には、Mac向けのアプリが充実して、国内一般企業でも標準のPCでMacを採用するところが増え、PCのハードウエアベンダーとしてのマイクロソフトとAppleのシェアが交代しているか、Appleがマイクロソフトを買収して、マイクロソフトは単なるMac向けOFFICE製品のベンダーとなっているかもしれない。


まあ、そうなったとしても、個人的には、使ってるマシンが変わるくらいで、マルチプラットフォーム対応のアプリ開発をメインとしているので、特にWindowsじゃなくとも仕事は出来るので、Windowsが無くなろうが関係ないが、あのチャラチャラしたMacの画面はやはり好きになれない。