関越道バス事故を考える | iPhone De Blog

iPhone De Blog

2009年12月7日からスタート
iPhone3GSからiPhoneユーザのLEONがiPhoneやAndroidなどを中心にしたデジタル系ガジェット、IT関連ネタ、趣味のコントラバスやチェロを中心としたクラシックネタ、2022年から始めた自家焙煎に関する話や日常の話まで幅広く書いてます。

http://mainichi.jp/select/news/20120506k0000m040112000c.html


「群馬県藤岡市の関越自動車道で46人が死傷した高速ツアーバス事故で、事故を起こした千葉県印西市のバス会社「陸援隊」=針生裕美秀(はりう・ゆみひで)社長(55)=が、「乗務員台帳」を作成していなかったことが国土交通省関東運輸局の特別監査で分かった。」


とあるが、この手の「乗務員台帳」と言うのは、社員名簿みたいなものだが、法的に必須となっている。

一般的な名簿と違うのは、免許証の詳しい内容の記載や、免許の更新記録の他、健康診断の記録や適性検査の記録、事故などを起こした場合の内容など、業務履歴も記録するようになっているのだが、大抵の場合、事務員がExcelやワードなど一人で管理している為、管理しきれないと言うケースが殆どだ。

つまり、履歴書的な内容以外はまともに記録されていないと言う事で、それでは安全な運行管理が出来ないのだが、僕自身、多少、運輸関係のソフトを開発しているので業界の実情はある程度把握していて、実は、昨年、低価格で利用できる乗務員管理ソフトを開発して某社から出したのだが、一向に売れない。

ちなみにこれはサンプルだが、アプリケーションからインターネット経由で管理して、いつでもこの様な内容の台帳を出力することができるものだ。


iPhone De Blog

これで管理費は乗務員一人当たりで100円/月で、サーバやデータベースの初期設定費用が168,000円ほど掛かるが、月額費用さへ払えばアプリケーションは何本でもダウンロードしてインストール出来るので、社内全員が管理出来る為、担当を決めて分業で管理することも出来る。


大抵、抱えているドライバーと言うのは50人~100人前後だから、月額にすると5千円~1万円程度にしかならない。

安全管理の保険料とすれば、たいした金額では無いが、それでも一向に見向きもされない。


今朝、メールで知人の運輸関係の社長に関越道の件に関して少し質問をした。

「アルバイトの乗務員がOKなら、それを管理する方が良いのか?」と言う質問だったが、答えはこうだった。

『基本的に、ドライバーはアルバイトは禁止です。

日雇いする場合も、社員(準社員含)として、雇用保険等は、会社で正式に行わないといけません。

今回の事件の問題は、沢山ありまして


運行指示書がなかった。

長距離を1人で運行させた(全ての会社がそうですが・・・)

白免許の違法な商売をさせてた。

運行管理をキチンとしていない。

運行管理をしてないとなると全ての管理書類が不備である。


つまり今回の会社は、倒産を免れませんね。

というのが、物流業界を含めて、現状だと思います。


サーカスの綱渡りをしなければ、生活できないのが実情でしょうね。』

結局、キチンとした管理以前に、事故があった時はあった時(サーカスの綱渡り)と言う事で、直接利益にならない(安全管理の様な)無駄な出費や管理はしないと言う事なのだろう。


実は、それ以前に、いわゆる、業界で言うところの「荷主」と言われる立場で、配送の業務委託をしている会社の物流管理者に話を聞く機会があったが、「配送を委託しているとは言え、我々の顧客に対しては、どんな乗務員が居るのか何も知りませんとは言えない。是非この様なものを使って欲しい」と言う話だったのだが、先の運送会社の知人に聞いたところでは、もし、それ(この様な管理ソフトを利用する事)を運送会社へ強制させれば、逆に訴えられて法律に引掛かかるだろう。と言う話だった。


結局、こういう業界の体質を変える為には、法的な強制力が必要となるのだろうが、法的に必須としていてもこれだから、何とも情けない話だし、そう言う厳しい状況の業界の歪が、今回の事故や日々発生する事故などとも全く関係ないとは言えず、根本の原因が何処にあるのか分かりににく、根は深い。