パナソニックの所得隠しと「輸出戻し税(輸出免税)」を考える | iPhone De Blog

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皆さん連休は如何お過ごしだろうか?

ちょっと連休の間で、久しぶりに目の覚めるような話を書いてみたい。


先日、「パナソニック」が120億円申告漏れがあったと言う記事を新聞で見た。


以下でも紹介されている。


http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2012050100218


恐らく、これは氷山の一角で、他の大手企業も似たようなもんだろう。

最近、「輸出戻し税」と言う言葉を耳にする様になったがご存知だろうか?

正式には「輸出免税」と言うシステムだ。

「消費税は万人に公平な税金」と思われているが、実際はそうでは無いのだ。


特に、上記のパナソニックしかり、トヨタをはじめとする、輸出が多い大企業にとっては非常に美味しいシステムなのだ。

その美味しいところが、この「輸出戻し税」だ。


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問題は、この還付金の出処だ。


「はてなキーワード」をみるとこのような説明がある。

http://d.hatena.ne.jp/keyword/%CD%A2%BD%D0%CC%E1%A4%B7%C0%C7


『外国の付加価値税等との二重取りを避けるため、輸出品は消費税を免税される。


しかし輸出企業は仕入れの際に消費税を支払っている。仕入れに掛かった消費税を政府から還付する制度が輸出戻し税である。


本来は輸出品に関連する取引全てに消費税を免除するシステムであるが、事務処理の都合等で、最後で帳尻を合わせる形を取っている。』

なるほど。至極もっともなシステムだ。

「輸出企業は仕入れの際に消費税を支払っている」

と言う事が事実であればだ。

しかし、実際は、仕入れ時に下請けに対して、「協力費」などの名目で、消費税分を値引きさせてやる事で、帳簿上は消費税を払った様になっていても、実際に消費税を負担しているのは下請け、孫受けの企業だけと言うのが実態だ。

もちろん、この「輸出戻し税」と言うありがたいシステムがあるので、「仕入れで支払いました」と言う消費税分の還元も受けられる為、プラスマイナス0どころか還付分は丸々利益となる。

別に我々の税金が回っているのでは無いが、結局、下請けが払った消費税が丸々懐に入っていると言う事で、下請けは値引きをして消費税も払ってと言う事で2重取りされている様なものだ。


もちろん、直近の下請けが全て消費税分を値引きしてるとは限らないだろうが、その下の孫受け、ひ孫請けと行って、下の方の何処かで誰かが負担していると言う仕組みだ。

消費税は売上が1000万円以下の小規模の事業者は免税されるという『免税点(免税基準)』があるが、この免税点は2003年(平成15年)までは3000万円であり、消費税を集めているのに納税していないという『益税』が批判される中で免税点が引き下げられた経緯がある。

実際は、この様な実態の中で、消費税分を計上できない小規模事業者が殆どであったにも関わらず、おそらくは大企業とマスコミのキャンペーンで、「この様な事業者が消費税を懐に入れている」と思わされて、まんまと国民が乗せられたと言うところだ。

中小事業者が消費税をキッチリ払ってくれれば、結局、大企業にもお得だからだ。

この免税点の引き下げと、消費税率の引き上げで、滞納事業者も滞納額も増加中だ。

このまま税率が引き上げられても、税収が増えずに滞納が増えるばかりで、その為の倒産が増えるというのは過去の数値からハッキリしている。

事実、消費税が払えなくて倒産したと言う話も多く、国内の産業構造を考えると、消費税が上がっても、福祉に使われる事も無ければ、それ以上に大変な事態になると言うのは推測がつく。


大企業の殆どが、輸出を主としている事を考えると、今回の消費税増税は両手を上げて大賛成の筈だ。


現在のシステムがあれば、消費税が上がっても痛くも痒くも無いわけで、国内消費が冷え込んで販売不振になろうが、「海外移転するぞ」と脅しを掛けて、国内で安く買い叩いた部品で、ドンドン輸出できれば、その上、下請け、孫受けが負担してくれた消費税が最終的には、これまた戻ってくると言う仕掛けなんだから笑いが止まらない。

つまり、輸出企業が「TPP」へ賛成するのも、この件と強ち関係ない訳ではないし、その上、帳簿操作で所得隠しまでやってるとなると、企業倫理もへったくれもない。

そのお先棒を担いで、都合の悪いことは書かないマスコミにも乗せられている状況は、戦前の日本とたいして変わらないだろう。

ゴールデンウィークで呑気に過ごしている間にも怪しい計画はドンドン進んでいるかもしれない。