タイトルは「NHKオンデマンド」の特選ライブラリー
『その時歴史が動いた 奇兵隊決起せよ! 高杉晋作挙兵の時』で聞いた高杉晋作の言葉
明治維新の立役者で一番に名前があがるのは坂本龍馬だが、僕は龍馬はバイプレーヤーだと思っていて、実は本当の立役者と言って良いのはこの高杉晋作だと思っている。
高杉晋作と言えば「奇兵隊」だが、「奇兵隊」の特徴は身分関係なく、志がある者であれば誰でも参加できると言う軍隊であり、この辺の思想は吉田松陰の「松下村塾」で学んだ影響が強く、この「奇兵隊」に影響されて、「朝市隊(商人)」「遊撃隊(猟師)」「力士隊(力士)」など様々な有志による自衛軍が結成され、後々影響することになる。
この番組では「歴史が動いた瞬間」を、倒幕に対して保守派と倒幕派が拮抗して内乱状態の長州藩の中での、高杉晋作の呼びかけによる「巧山寺」での決起としている。
この決起の時に、一番始めに集まったのは「松下村塾」の後輩伊藤博文が率いる「力士隊」と猟師による「遊撃隊」であり、それが60名だったが、その後、「奇兵隊」(実は、呼びかけをした時は、奇兵隊総督を解任されていて、別の者が統督だったが、最初は決起を断った)なども加わり3,000人にも膨れ上がり、保守派を一掃して長州藩が倒幕へ進む大きな影響を与えた。
これ以外も、幕府の長州征伐や外国艦隊との下関戦争含めて、何度も長州藩のピンチを救う事で、彼の存在があって、どうにか長州は倒幕へ進んで行くことができた訳だ。
僕が注目しているのは、彼のその後の行動で、「巧山寺の決起」に成功した結果、保守派が一掃され、長州藩の要職に付けたにも関わらず、高杉晋作は、イギリス留学を志して、あっさり長崎へ渡って行ったことだ。
タイトルはこの時に語ったと言う言葉であるが、実に清々しいセリフでカッコイイ。
死の前に「ここまでやったのだから しっかりやってくれろ」と言い残し、半年後、大政奉還が行われ、翌年、明治政府が誕生したが、結局、清々しくない連中が明治政府を動かしていた為、高杉晋作の本意とは違う方向に進んで行ったのは歴史で知るところ。
もしかすると、彼はこの後の明治政府の「藩閥政治」を予見していたのかもしれない。
高杉晋作の詩としては亡くなる前に詠んだ
「おもしろきこともなき世をおもしろく・・」
と詠みかけの詩が有名で、この詩だけを聞くと、単に何も考えずに思うままに行動していただけの人物に聞こえるが、これらの言葉を聞くと、全ての行動には目的とポリシーがあった事が伺えるし、だからこそ「おもしろきこともなき世をおもしろく」生きていけたのかもしれない。
彼の存在が無ければ、長州は幕府に屈していただろうし、そうなった場合、薩摩だけの倒幕は到底実現出来なかった筈で、歴史は大きく変わっていた筈だ。
時代が変わっても、真のヒーローは富も名誉も欲しがらないものだ。