各地の災害の爪あとの情報はマスコミに任せるとして、昨日はコースの真っ只中で仕事だった人達は大変だったろう。
ブログで親しくさせて頂いてる方も演奏の仕事で強風に煽られ転倒しながら現場へ行った様だ。
転倒した時に怪我をされた様で、楽器も点検へ出さないと心配と言う事で気の毒なことだ。
この方だけで無く、本人の意志とは関係なく、真っ只中でも仕事で外出をしなければならない人達は多かっただろう。
気になるのは、この様にして出掛けた方に対して、苦労をねぎらうのはまだしも、その中に「良く頑張った」とか「すごい」と言う様な評価の声があることだ。
何だか、戦時中に赤紙で召集されて戦争に出掛ける若者に万歳三唱していた人達を連想する。
そこまで極端じゃなくとも、上司の目があるから、上司が帰るまで用事も無いのに無駄な残業したり、暴風雨の中でも出勤して忠誠心を見せる部下に対して「うん。良く頑張ってるな」と言ってる中間管理職を想像する。
もちろん、消防や警察、電力会社等のライフライン関係の仕事など、こういう時こそ仕事をしなければならない職業は別だが、世の中そうじゃない仕事の方が遥かに多い筈で、本来なら雇用者などが安全を考慮して早めに指示を出すべきだろう。
台風も地震も災害でありどちらも被害は大きいが、大きく異なるのは「予知」が、それも相当正確に出来ることだ。
何時何分頃にどの辺りを通過すると言う予測がつくのだから、対策も出来るし、未来永劫続く訳じゃないので、落ち着けば別の機会にする事だって可能だ。
せっかく、これだけの科学技術をつぎ込んで正確な予報や予測をしても受け取る側が適当なら下駄でも投げてる程度で充分だろう。
僕はこの記事を読んで、一番腹が立ったのが主催者に対してだった。
有名な商業劇団の様だから利益優先と言う事なのだろうが、客席も満席だった様だ。
悪いが、来るのが分かってるのにやる方も見に行く方もアホかと思ったが、それ以前に中止にするべきだろう。
客の方もやるなら行かなければチケットが無駄になるわけで暴風雨でも仕方なく出向いて行くしか無い。
当然、中止して延期すれば経済的な損失も大きいのは確かで、ビジネスとしてやっているのだからわからないでも無いが、そういう大掛かりな行事を主催するなら、ビジネスとして、そういう保険などを掛けておくのは当然だし、今回の震災では、特に関係ないのに世の中の風潮で中止にしている公演も沢山ある筈で何を最優先にしているのか分からない。
どうも日本人というのは仕事だったら何でも許され、仕事が最優先と言う風潮がある癖に、それ以前に全体の顔色をうかがう民族だが、こういう災害の時も「皆が出てるから」と言う理由が最も優先された筈だ。
そこに自分の意志がある訳じゃなく、言われたから、皆が行くから、と言う程度しか無いが、ひとたび間違えば命の危険もあるわけだ。
台風一過で、骨の折れた安物のビニール傘の山が残るのは、その程度の軽さの象徴に見えると同時に、赤紙一枚で呼び出されて、見たことは無いが累々と積まれた戦死者の山と重なるのは僕だけだろうか。