実は、僕は二つの勘違いをしていた。と言うより騙されていた様だ。
これは僕だけでなく殆どの国民がそうだったのでは無いだろうか。
1つは、福島は地震では無く津波によって電源供給が絶たれてその結果、現在の様な状況となった。と思っていのだが、これは最近の報道で、既に地震発生によって原子炉内の配管等が損傷を受け、短時間の間にメルトダウンしていたらしいと言うのが分かった。
分かったと言うのは、正確には適切でない。
既に直後には判明していた様だが、公表されたのが2ヶ月以上も経ってからと言う事なので知らされたと言うのが正しいだろう。
僕はそれまで、福島は地震だけなら今回の様な事故は起こらなかった、耐震設計も充分になされていると思っていたが、それも思っていただけだった。
そして、どの原発も同程度の設計しかされていないと言う事をこの人のブログを読んで知った。
これは中部大学の武田邦彦さんのブログだが、中々面白いし勉強になる。
http://takedanet.com/
環境問題の話もあって、時間があれば他のエントリーも読んでみたいが、代表的に紹介するこの記事からすると
http://takedanet.com/2011/05/post_aca9.html
「わたくしも、今回の福島原発の事故は、地震で相当の打撃を受けているはずだと思っていました。
それは単に「推測」ではなく、日本の原発の設計が(原子炉ばかりではなく、すべてが正常に機能すると言う点で)震度5程度なので、震度6の揺れを受けたらある程度破損するのは当然だからです。」
とある様に、既に識者からすれば当然の事だった様だ。
もう一つは、今回、浜岡原発が停止となったが、僕はこの原発が出来た頃にはまだ地震に関する研究が進んで無かったので知らなかったのだ。と思っていたら、そうでは無かった。
http://www.stop-hamaoka.com/news/sunday.html
この記事は、東大地震研究所所長、地震予知連絡会会長を歴任するとともに、東海地震の発生の可能性を判断する国の地震防災対策強化地域判定会(略して東海地震判定会)の会長を1991年から5年間務めた地震のエキスパート茂木清夫東大名誉教授の話だ。
茂木氏の話は以下の通りだ
「いったいなぜ、こんな場所に原発を造ったのか。
『当時は東海地震の危険性が知られていなかった』という弁明は通りません。
なぜなら、私が東大地震研究所の月例談話会で「東海地方でM8級の大地震の可能性がある」と日本で最初に指摘し、それが地震予知連絡会経由で発表され、全国紙の『毎日』や『朝日』、NHKや民放各局、週刊誌などで大きく報じられたのは、中部電力が浜岡原発1号機の設置を申請する6ヶ月も前、1969年11月のことだったからです。
それだけではありません。
地震予知連は翌70年2月、M8級地震の発生をにらんで東海地方を「特定観測地域」に指定。
4年後には、さらに切迫度の高い「観測強化地域」に格上げし、ついに78年、大規模地震対策特別措置法の施行とともに、国として東海地震の予知・災害軽減対策に取り組むことになったのです。
にもかかわらず、浜岡原発1号機は、70年5月の設置申請からわずか7ヶ月後に国の設置許可が下り、2号機も72年9月に申請、8ヶ月後には許可されるという拙速ぶりです。こんな短期間では、おそらく地盤の調査さえ満足に行われていないのではないか。」
要するに、地震に耐える設計もされていなければ、既に大地震が発生する可能性があることを知っていて建設した。という事だ。
これは福島で津波の危険を指摘されていたにも関わらず放置していた事と同じで、全て原発推進ありきと言う事で行われてきた話であり、この様な話はマスコミも殆どとりあえげる事は無かった為、我々の知る由が無かった訳だ。
先日判明したメルトダウンはじめ様々な福島の隠蔽や公表の遅さも、これまでの体質そのままだった様だ。
僕自身は武田氏と同様に「安全な原子力なら推進」と言う考えだったが、この様な話を専門家から聞けば、今現在稼働中の原子力発電所に関して言えば、そう言えるところがあるのだろうか?と疑問に思わざるを得ない。
しかし、これまでの自民党政権下で進められた原子力行政下で、電力需要の3割程度を賄うまでになった原子力発電所を廃止する方向で進めて行った場合の代替電力の供給はどうなるのだろうか?
当然火力発電へ戻れば温暖化問題がやってくる。
太陽光や風力などが言われているが、その様なエネルギー効率の悪い発電を本気で進めていくつもりだろうか?
2005年に衆議院予算委員会公聴会での石橋克彦神戸大学教授の発言に答えはある。
http://www.stop-hamaoka.com/koe/ishibashi050223.html
「そもそも日本列島に居る限り、地震と共存する文化というものを確立しなければならない。
つまり、従来は自然と対決する文明で、それに対して最新技術でもってバックアップしようという考え方でしたけれども、自然の摂理に逆らわない文明というものを我々は作っていかなければならないと思います。」
と言う事だ。
原子力発電所が地震に弱いと言うのは既に事実と言って良いだろう。
現在、1つの有力な回答は「地熱発電」の様だ。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20110418-00000305-alterna-soci
又、これに類する技術として「高温岩体発電システム」というのがあり、これも有効かもしれない。
そう言う意味では、原子力発電は対決する技術であり、地熱発電は共存する技術と言えるだろう。
地震大国日本ではあるが、反面、その地下に眠るエネルギーも膨大だ。
もちろん、それ以外にも日本は海洋国である為、洋上風力発電等、日本らしい技術発展の方向があるのでは無いだろうか。
地熱発電はコストが掛かると言うが、原子力発電所は停止しても尚長期に渡る管理が必要で、その維持や放射性物質の管理の費用、そして何より今回の地震を踏まえた安全対策費用を考えると、そもそもが、原発推進有りきで来ているところからしても、コストを比較した場合に地熱発電がコストが高いと言ってるのも疑わしい。
いつの時代か分からないが、日本から原子力発電所が無くなる時代が来れば、今回の震災の犠牲も無駄では無かったと言えるかもしれない。