「世界一運が悪い男」は本当に運が悪かったのか? | iPhone De Blog

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iPhone3GSからiPhoneユーザのLEONがiPhoneやAndroidなどを中心にしたデジタル系ガジェット、IT関連ネタ、趣味のコントラバスやチェロを中心としたクラシックネタ、2022年から始めた自家焙煎に関する話や日常の話まで幅広く書いてます。

僕の場合、イギリスと言って思いつくのは「シャーロック・ホームズ」だ。


子どもの頃から推理小説が好きで、ポプラ社から出ていた江戸川乱歩の「少年探偵団」シリーズのハードカバーは全巻持っていて、何度も読み返したものだ。


そう言う意味では、次々と不思議な怪事件を起こす怪人二十面相と対決して、鮮やかに謎解きをして解決する「明智小五郎」は僕の子どもの頃のヒーローだった。


一方で、薄暗いロンドンの一角で活躍するホームズは、キレモノだが皮肉屋で、言ってるジョークも今ひとつ意味がわからないし、一向に好きになれなかった。


まだ、フランス系のポアロやルパンの方が多少可愛げがあった気がする。


僕はドラマが好きなのでBBC放送のドラマも時々見るが、相変わらず、いったい何がおかしいのか分からないジョークがある。

僕の場合、その程度の理解だが、イギリスで暮らした事のある人は『イギリス人にとって気のきいたユーモアを言えるということは、日本人にとって敬語をきちんと使えることと同じくらい重要なことのようなのだ』と言っている程ユーモアのセンスは大切なようだ。

これは、上から下まで一緒で、ブレア元首相が初めての選挙のとき「イギリスが抱えている問題は3つある。教育と教育と教育だ」と言ったらしいが、一般庶民でも気の利いたジョークでしのぎを削っている。


そして、イギリスのユーモアの特徴というのは「自分を笑う能力」ということらしいが、この場合は笑う相手を間違えたのかもしれない。

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広島と長崎で2度被爆した日本人男性を「世界一運が悪い男」と紹介してジョークのネタにしたらしい。


ただ、多少誤解があるようだ。


司会者が「出張先の広島で被爆し、列車に乗って戻った長崎でまた被爆した」と説明すると、ゲストらが「でも、93歳まで長生きしたなら、それほど不運じゃない」「原爆が落ちた次の日に列車が走っているなんて、英国じゃ考えられないな」などとコメント、会場から笑い声が上がった。


と新聞報道があったが、彼らが爆笑したのは、おそらく『原爆が落ちた次の日に列車が走っているなんて、英国じゃ考えられないなのこれだろう。


まさに、イギリス的自虐ユーモアだ。


そして、2度も被爆したのに93歳まで生きたことに対する、ある意味、運の良さと比較して笑ったので、
2度被爆した事そのものを笑ったのででは無いだろう。


しかし、
僕が気になるのは、2度被爆したことを「運が悪い」としたことだろう。


戦争は自然災害ではない。

特に、民間人の戦争被害は人災の何ものでも無い。

決して「運が悪かったから被爆したのではない」


そういう点では、天下のBBCがとりあげる対象としては、ユーモアのセンスが無さ過ぎる。

ユーモアと言うのは核心を外してないからセンスが出るのだ。

おそらくイギリス人にしてみれば、遠い東の小国で起こった戦争被害など全く身近な話では無いだろう。
ちょっと大きな爆弾が2回程破裂したって程度だろう。と言う感覚しかないだろう。


しかし、これはイギリス人に限らず、例えば、日本から中東付近で起こっている紛争を見た場合も同じようなものであろう。


対岸の火事というのはたいして気にならないものだ。


重要なのは、言葉や住んでいる場所が違っても戦争に対する認識は共通であるべきだということだろう。


今回は我々が時折アジア諸国との関係で体験することをイギリス人が経験したわけだが、あらためて、国は違っても大切な認識は再確認してほしい。

ちなみに、BBCの名誉の為に紹介するが、BBCはTBSとの共同制作でこう言うドキュメンタリーを作っている。

原爆に対する彼らの認識はこれを見ると分かるだろう。

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このDVDは以下の様にYouTubeでダイジェスト版としてBBCが公開している。

(1)  原爆が完成 
(2)  投下を決断 
(3)  作戦の始動 
(4)  広島へ投下 
(5)  被爆の惨状 
(6)  長崎~終戦