いゃぁ~素晴らしかった( ´ ▽ ` )ノ
前に「オーケストラは振ったがとしか鳴らん」と書いたが、今日のコンサートはまさにこれを良い意味で裏付けるような演奏だった。
今日のコンサートは指揮者が元オーボエ奏者で現在活発に指揮活動をされているM氏だ。
僕はM氏の指揮は初めて見たが、写真の様に指揮台が低い。
指揮台へ立つと膝の高さだ。
その代わり、後ろには転倒防止用の柵が設置してある。
前後の空間は最大限広く使いたいと言う意思の表れだろう。
今日のプログラムは
シューベルト 交響曲9番「ザ・グレート」
グノー 歌劇「ファウスト」
ベートーヴェン 歌劇「フィデリオ」序曲
どのプログラムも全身全霊。
最近の日本の若手指揮者に比べれば消してテクニック的に器用で鮮やかと言う感じでは無い。
しかし、小手先のテクニックなんか吹っ飛んでしまう様な、音楽がほとばしる指揮で、これで演奏出来なければ音楽は辞めた方が良いだろうと言う位、何をやりたいのかハッキリ分かるし、ちゃんと目の前のオーケストラを指揮していた。
逆に学生さんの反応が悪いのが気になる位で、「もっと前に!」と心の中で何度か呟いてしまったが、これがプロオケならどんな反応をするのか聴いてみたいもんだ。
M氏はこのセッティングからしてもエネルギッシュな指揮をする為の用意は準備万端だが、加えて指揮棒を使わない。
指揮棒を使う使わないと言うのは人それぞれかもしれないが、M氏の指揮を見ていると、棒が無い方が使える空間が多く、表現力も多彩な気がする。
時折、両手で松葉マークを出したり、良い演奏の場合は右手で親指を立てたり、両手が自由に使える事で表現出来る事が沢山ある事にあらためて気付かされたし、良く研究されている様だ。
きっと小澤征爾さんの若い頃は(あ、今でも!?)こんな指揮だったんだろうな。と思う位、後ろ姿がそっくりだが、情熱もそっくりな指揮だった。
又、オープニングが終わった時から、拍手の時に太鼓付近までウロウロしながら握手やスタンディングをさせたのは驚いた。
下の写真はメインの拍手の時だが、左端の打楽器の場所にいるM氏。
感激屋なのか、いゃ、本当、情熱家なんだろうが、この血はヴァイオリニストとして活躍中の娘さんにも間違いなく受け継がれている事だろう(笑)
学生さん達も指揮者のエネルギーに引っ張られる様に徐々に反応も良くなり、最後のグレートの終楽章はオケが一体となった素晴らしい演奏だった。
コントラバスは僕の学生時代からの友人がOBとして出ていて、それも嬉しかったが、最後の音を、「これが早出しのタイミングだ。」の見本の様な絶妙なタイミングで入ったのも嬉しかった。
情熱だけでは無く、アンコールの「雷鳴と稲妻」の時は指揮台を降りて客席と手拍子したりする茶目っ気もあり、別に赤い服を着なくても充分お客が楽しめるアンコールで、最後は客席とステージまで一体にしてしまった。
客席を向いて指揮をしているM氏
正直、オーケストラのレベルから言えば先日の大学オーケストラの方が一人一人のレベルは高いと思う。
しかし、まとまってなければ学生のアマチュアレベルなら集中力がある方が良い演奏に繋がる。
程度の違いはあってもプロオケでも同様だろう。
結局、それを作り出すのが棒の仕事と言う事になり、そこがオーケストラの面白いところになるのだが、その為には、相手がアマチュアだろうがプロだろうが、全身全霊でオーケストラにぶつからないといけないと言うのは、長年オーケストラで演奏活動して来た経験から充分承知されているのだろう。
そう言う意味で、先日は何か煮え切らない感じでホールを出たのに対して、今日は非常に心地良くホールを出られたのかもしれない。
いつか機会があれば僕もこの棒で演奏してみたいものだ。