昨日はコントラバスのアンサンブルコンサートだった。
出演者の殆どは知人で、僕の元師匠のK響のY氏は元より、出演しているG響のI君やNフィルのK君等は高校生の時から知ってるので、彼らの成長振りも見たかったが、大学を出てから二人ともプロらしい顔つきになって来たなぁと言う感じだった。
アンサンブルの印象に関しては、クラシック系のメインの曲は僕がやっていたコントラバスカルテットで20年以上前に九州初演した曲で、曲の難しさは良く判っているし、彼らの場合は長い時間を掛けて積み上げた物では無いので辛口の印象だが、パッと合わせた割には善戦してたと思う。
只、後半の、ジャズベーシストのN君が編曲&参加したアンサンブルは非常に良かった。
ベーシストだけあって、ベースの特性を良く理解していて、自然と曲の流れや役割がハッキリする様な工夫が随所になされていた。彼の編曲の才能はいつも素晴らしいと思っているが、昨日のアレンジは秀逸だったと思う。
こう言うアンサンブルの場合難しいのは、「楽器が同じである事」で、各楽器のトーンを出来るだけ異なるイメージに仕上げないと聴いてて動きが良く判らなくなると言うところだ。
これが普通に弦楽四重奏等の場合は、元から楽器が異なるので、そこまで神経を払う必要は無いが、同種の楽器の場合は特に注意し無いと難しい。
僕はカルテットではずっと1stだったが、常にそれを意識していたし、その為、当時は、弦の種類もオケではイマイチ使い物にならないが、比較的明るい音のする物を選択していたと思うし、出来るだけ「立った音がする様な弾き方」も心掛けていたと思う。
演奏に関しても、ビブラートは出来るだけ多目にして、逆に2ndや3rdがオブリガードの場合は少しトーンを暗めにしてビブラートは控えめにして貰うとか工夫をしたり、自分が裏に回る場合はトーンを少し下げる等をする事でアンサンブルの流れが明確になる工夫をした。
又、今、誰がこの演奏を引っ張っているのかと言うのを各人が意識して無いと、これも流がイマイチはっきりしなくなる。
1stが常に引っ張っている訳では無いし、2ndや3rdがその場の転換をする事も沢山あるので、その辺を意識しないと流れの変わり目がわからなくなる。
まあ、これはソロを弾いてる時でもオケでも何でも言える事だが、常に自分の立ち位置を確認しながら演奏すると言う事だろう。
ソロの場合でも小品だと和音だけ刻んでるような伴奏も多いが、バッハ等になると時としてピアノが確実に主役となる箇所がある曲が殆どで、きちんとアナライズしておく必要がある。
まあ、アマチュアでもこんな感じで多少は変わるので、プロとなると、常時活動している弦楽四重奏やアンサンブルは確実にすごい。
海外には「もう何十年もやってますぅ。」なんてのがゴロゴロある。
中には親もここに居ましたなんてのもあるからすごい。
これぞアンサンブルの極みと言う感じで、オケ等の大人数では絶対判らない面白さがあるし、ジャズのセッションにも負けない面白さがあると思う。
このクラスになると、幾ら有名どころでもパッと集まって仕上げた物とは雲泥の差がある。と思うが、これは普通は中々聞き分けられないかもしれない(笑)
まあ、そうじゃなくとも、日本でもそう言う少人数の演奏団体が育つ環境があれば、もっとクラシックは身
近なものになるだろうし、もし、イベントの寄せ集めでは無い、きちんと常時活動をしているグループの演奏を聴く機会があれば、是非行って欲しいと思う。
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