この曲はドイツの大作曲家ヘンデルのオラトリオだ。
まあ、簡単に言えば、あまり堅苦しくない宗教音楽のライブみたいなものである。
ベートーヴェンの第九とヘンデルのメサイアと言えば、だいたいクラシック界の冬の定番であり、どちらも合唱や歌のソロが入る曲としても有名であるが、僕は個人的には第九よりもこちらの曲の方が好きだ。
このヘンデルは「音楽の父」と言われるバッハに対して、「音楽の母」と呼ばれるが、何故「母」なのか詳しい説明を聞いた事は無いし、婚姻関係にあったと言う事実も無い(笑)が、二人ともキリスト教関係の音楽を作っていたのは確かであり、作品のタイプが違ったからかもしれない。
現代(特に日本)ではバッハの評価が高いが、実は二人とも同時期に活躍した作曲家であり、活躍当時は、バッハよりもヘンデルの方が評価が高かった様だ。
バッハは終生ドイツで音楽をやっていたのに対して、ヘンデルは当時の音楽の本場イタリアで勉強し、その後は当時としては飛ぶ鳥を落とす勢いのイギリスへ渡って音楽活動をやってたと言う意味でも当然だろう。
日本のジャズプレーヤがニューヨークへ修行に行かなければ高く評価されないのと一緒だろう。
曲の話しに戻るが、このメサイアはキリストの生涯を柱にした曲である。
ジーザス・クライスト・スーパースターと言うブロードウェイのロックミュージカルがあるが、まさにこれはメサイアの現代版と思えば良いだろう。
このメサイアも合唱やソプラノその他のソリストとオーケストラで演奏される50数曲、1~3部まで2時間半位掛かる、こちらも負けず劣らずの超大作である。
ジーザス・クライスト・スーパースターが、初演当時、宗教団体から相当クレームが来たらしいが、こちらの方も、負けず劣らず、ロンドン初演当時、「たとえ神を賛美する内容とはいえ、『劇場』で行うような『娯楽』作品に『救世主』という名をつけ、宗教的な内容を演奏することは冒涜である」などと批判された。
その位、宗教色と言うよりもエンターティメント性の方が高かい曲であり、これらの50数曲の中で最も有名なのは2部の最後に演奏される「ハレルヤ」で、これは単独でも良く歌われ、演奏される。
ヘンデルが当時の人気作家であろう事は、この50数曲が全てキラ星の様な名曲の集まりであり、且つ、クラシックなのに?現代でも通じるビート感を持つ曲も沢山含まれてる事から推測できる。
第2部にある、All we like sheep等は完全に8ビートだ(笑)
この様にどの曲も名曲であり、イギリスで作られてる為、歌詞は全て英語になっててわかり易いので、機会があれば一度ライブを聴かれる事をお勧めするし、非常に感動する事間違い無しである。
特にラストのアーメンコーラス等は、曲のカデンツ(いわゆる最後のジャン、ジャーンと言う部分)の直前に、GP(ゲネラルパウゼ)と言う全休止の小節があり、一瞬空白が空くが、この瞬間に神様が降りて来そうな気がする。
※演奏してる立場からすると「あ~やっと終わる。。」と言う安堵感が至福の喜びをもたらす。
特に、教会等で聴けば、普段の日頃の行いが悪い人は一生とは言わないが、1年分位は贖罪できるかもしれない。
僕も、先日、これを演奏して贖罪して来た(笑)
- ヘンデル/オラトリオ「メサイア(救世主)」 /作者不明
- ¥900
- iTunes
※モバイル非対応