この記事は「Voice of Indonesia」というインドネシアの公共ラジオ放送局が運営するサイトで2020年の12月にアナウンスされたものです。以下は記事の抜粋です。
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このコラボレーションは、アフリカ大陸から19人のメンバーがいるARIPOが、DGIPによって作成されたシステムを採用するのを支援するためのものでした。ARIPOは、インドネシアが作成したシステムがこれらの国で実施するのに非常に適切であると考えています。
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少し話がずれますが、東南アジアではアセアン知財協力作業部会(AWGIPG)により、アセアン地域全体の組織的な知財分野の活動が行われています。このAWGIPCではASEAN PATENTSCOPEというアセアン各国の特許等を収録するデータベースが運営されています。このデータベースもARIPOと同様に、WIPOが開発したIPAS版のエンジンをローカライズしたデータベースです。これを実質的に開発したのがインドネシア知財庁のDGIPです。
DGIPはASEAN PATENTSCOPE開発の経験を活かしてARIPOのデータベースの開発を支援することになったようです。しかしこの記事を読んで、アジア特許情報研究会内部ではARIPOサイトの今後を少々心配していました。
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先日、このブログで「アフリカにもWIPO IPAS版データベースが」と紹介したように、ARIPOにWIPO IPAS版のデータベースがお目見えしました。
このデータベースから取得した出願番号AP/P/2018/010441の案件のXMLファイルには、
<classification-ipcr sequence="1">
<ipc-version-indicator>
<date>2006.01</date>
</ipc-version-indicator>
<section>G</section>
<class>G0/</class>
<subclass>R</subclass>
<main-group>21</main-group>
<subgroup>/0</subgroup>
<symbol-position>R</symbol-position>
<generating-office>
<country>ID</country>
</generating-office>
</classification-ipcr>
のように、付与されたIPCの情報が記されています。
<generating-office><country>ID</country></generating-office>
とあるように、やはりインドネシア(ID)知財庁DGIPによりXMLデータが生成されたようです。
過去のDGIPのシステムでは、色々とIPCに関する問題が発生していました。筆者が受ける印象では、インドネシアの知財庁はあまりIPCについて詳しくないようです・・・。
ご存じのようにIPCは、セクション・クラス・サブクラス・メイングループ・サブグループの「5パーツ」で構成された国際特許分類です。XMLの規定上では、IPCの5パーツそれぞれを前記のようなタグを使用して表現します。今一度XML文字列をご覧ください。
クラスとサブグループが
<class>G0/</class>
<subgroup>/0</subgroup>
のように記されています。本来ならばIPCのクラスは2桁の数字、サブグループは2桁以上の数字です。
こんな妙ちくりんなXMLデータを作ってしまうと、データベース画面上でも

のようになってしまいます。ARIPO案件の技術分野が全く分からなくなってしまいました。
ちなみにARIPOでは従来から使用されていたデータベースにも、このURLから入ることができます。
この「旧データベース」で同じ出願番号AP/P/2018/010441の案件を表示させるとこのように。

こちらで表示されるIPCが「正解」のようです。
WIPO IPAS版の「新データベース」の運用が開始されたこのあと「旧データベース」がどのようになっていくのか全く分かっていません。「旧データベース」にも新しい案件が収録されるのかどうかわかりません。「新データベース」のデータの修復を心待ちにするしかありません。
ところでここでは
もちろんモザンビークで発行され、所定のIPCが付与された案件を調べてくれなんていう要請もアイ・ピー・ファインではお受けします。
なんて書いてしまいました。前言撤回します。今はARIPO諸国の案件をIPCで検索することができません。ごめんなさい。データベースがまともになるまでお待ちください。
アイ・ピー・ファイン株式会社/アジア特許情報研究会
中西 昌弘