こんにちは!立体美容外科です![]()
前回の記事では、額縮小手術の歴史や、
傷跡を目立たせにくくするための
切開テクニックについてご紹介しましたよね。
今回は、額縮小手術の核心となる技術、
「筋膜切開術(Galeotomy)」とその固定方法について、
より詳しく解説し、実際の症例を通して
どのように応用されるのかをご紹介します。
筋膜切開術(Galeotomy)の魔法
頭皮はどれくらい伸びるのでしょうか?
これは額縮小手術における、
非常に重要な問いのひとつです。
実際にご自身で引っ張ってみると分かりますが、
頭皮は皮膚に比べてあまり伸びません。
その理由のひとつが、解剖学的な構造の違いにあります。
私が額縮小手術で主に行っている方法は、
筋膜下剥離(Subgaleal dissection)です。
そして、この操作をより効果的に行うために用いる技術が、
筋膜切開術(galeotomy)です。
筋膜(galea aponeurotica)は、
頭皮の深層に存在する硬くて弾力のない線維組織で、
この層が頭皮の可動性を制限しています。
頭皮は5つの層から成り立っており、
それを分かりやすく覚える方法として
「SCALP」という語呂合わせがあります。
骨膜はもっと深い位置(底)にあるため、
特に気にする必要はありません。
頭皮の観点から見ると、
Aにあたる「筋膜(galea)」が最も硬く、
伸縮性がないため、縮小量を制限する主な原因となります。
そこで登場するのが、
筋膜切開術(galeotomy)です。
これはこの層に複数の平行な線状の切れ込みを入れる手術技術です。
そうすることで、この伸びにくい組織が柔軟になり、
局所的な組織の移動が増加し、傷口の縁にかかる緊張も軽減されます。
……と言っても、
ちょっと分かりにくいですよね?(笑)
食べ物で例えてみましょう。
ソーセージやスンデ(韓国風ソーセージ)を
思い浮かべてください![]()
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外側の皮は硬くて伸びにくいのに対し、
中身は柔らかいですよね。
そのまま焼くと破裂してしまうので、
包丁で切れ目を入れてから焼くと、うまく膨らみますよね?
筋膜切開術は、まさにこのような原理だと
思っていただければ分かりやすいかと思います。
他の例を挙げると、料理の際に
「伸ばした方がいい」状況では、
包丁で切れ目(切り込み)を入れることがありますよね。
例えば**味付きカルビ(ヤンニョムカルビ)**の場合、
厚く切ったままだと中まで火が通る前に
外側が焦げてしまうので、
切れ目を入れて広げてから焼きます。
筋膜切開術(Galeotomy)もこれと同じようなイメージで、
切れ目を入れて頭皮をうまく伸ばせるようにする手技だと
考えてもらえると、分かりやすいかと思います。
従来の筋膜切開術は、
広範囲な切開と剥離を必要としました。
そのため、血管や頭皮の感覚をつかさどる
神経を損傷するリスクが高まりやすかったのです。
しかし、最近では神経損傷を最小限に抑えつつ、
わずかな切開だけで筋膜切開術を成功させる技術が開発されており、
私自身も現在、
この最新の方法を用いて施術を行っています。
一般的な手順としては、
1. 頭皮の前縁から約25mm後方に、
最初の筋膜切開を行い、
2. さらにその10〜15mm後ろに、
2本目の筋膜切開を加えます。
3.各切開の後には、約60秒間の牽引を加え、
さらなる頭皮の移動を促進します。
筋膜切開術は、頭皮の伸縮性が十分でない場合や、
大きな矯正が必要なケースに特に有効です。
この技術を活用することで、
ヘアラインをより確実かつ効果的に下げることができ、
患者様の満足度向上にもつながると考えています。
固定デバイスの進化
額縮小術では、前方に引き下げた頭皮を
どのように固定するかが非常に重要なポイントとなります。
初期の額縮小術では、
引き下げた頭皮を縫合糸だけで固定していました。
しかし、この方法では時間の経過とともに
頭皮が徐々に後方へ戻ってしまう傾向がありました。
この問題を解決するために登場したのが、
エンドタインや
フィクスタインクリップといった
専用の固定デバイスです。
これらの装置は、
より強力で安定した固定が可能
縫合糸よりも後戻りのリスクを抑えられる
長期的に仕上がりを維持しやすい
といった特長があり、
現在では信頼性の高い固定方法として広く用いられています。
エンドタイン
エンドタインや
フィクスタインは、
生体吸収性の素材で作られた固定デバイスです。
デバイス表面には小さなフック状の突起があり、
これが頭皮をしっかりと捉えて固定することで、
ヘアラインが後退してしまうのを防ぐことができます。
骨トンネリング
もう一つの方法としては、
骨トンネル縫合による固定法があります。
これは、頭蓋骨に小さな穴を開け、
縫合糸を通して頭皮弁を骨にしっかりと固定する技術です。
エンドタインが使用できない患者様にとって、
有効な代替手段となります。
また、額縮小手術でどれくらいの
縮小量が可能かを定量化した研究によると、
平均で1.3~2cm程度の縮小が可能であると
報告されています。
特別なケースでは最大5.5cmまで縮小できた例もありましたが、
それには十分な皮膚の弾力(=生まれ持った条件)と、
やや積極的な手術手技が必要だったとされています。
さらに、手術後には額と顔全体のバランスがより調和するという
研究結果も報告されています。
起こりうる合併症
報告されている一般的な合併症としては、
一時的な頭皮の感覚低下や異常感覚、
軽度の漿液腫(滲出液のたまる状態)、
切開部周辺の一時的な脱毛(ショック脱毛)などがあります。
最後に、症例をひとつご紹介して
締めくくりたいと思います![]()
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20代の女性の患者様で、
中央部分のヘアラインの位置が
高いことがコンプレックスで来院されました。
額縮小手術の術前・術後2週間の経過です。
おでこの尖った印象が大きく和らぎ、
顔全体が小さく見えるようになりました。
斜めから見ても、
おでこが丸みを帯びた印象に変わっています。
「ホアン・ビーホン」と呼ばれることが多い、
おでこの曲線がヘアラインの後退によってできる感じも減り、
おでこの境界線がより現代的な形に整いました![]()
傷跡は3か月から6か月にかけて徐々に薄くなり、
切開線の部分からは毛髪が生えてきます。
6か月経つと傷跡は薄い白色の線状に残りますが、
そこにも短い毛が生えて目立たなくなります。
額縮小術は単におでこの長さを
短くするだけの手術ではありません。
「デザイン」、「切開」、「固定」、
そして「回復」までを含む、
繊細な技術の積み重ねが必要な手術です。
本日の内容は以上になります![]()
最後までご覧下さりありがとうございます![]()
次回もぜひお楽しみにしてください![]()








