こんにちは!立体美容外科です![]()
最近の診療で、よく耳にするお話があります。
「糸リフトを1〜2年おきに受けてきましたが、
最近は効果をほとんど感じません。
手術でしっかり改善したいです。」
「何度も糸リフトを受けていますが、
フェイスリフト手術はできますか?」
こういったご相談をされる方が少なくありません。
今回は、国際学術誌
Aesthetic Plastic Surgery(2025年)に掲載された
Yordan P. Yordanov 先生の研究
「The Facelift After Thread Lifting:
Surgical and Aesthetic Complications」をもとに、
糸リフト後にフェイスリフトがなぜ難しくなるのかを、
科学的な視点から解説していきます![]()
「糸リフト」とは、
吸収性の糸を皮下に挿入し、
物理的に肌を引き上げる
非外科的リフトアップのことです。
施術直後はフェイスラインや
ほうれい線まわりがリフトされたように見えますが、
多くの場合、6か月〜1年ほどで効果が薄れていきます。
そのため、
「少しでもたるんできたらまた受けよう」
という形で繰り返し施術するケースが多くなりがちです。
しかし、この繰り返しによって、
皮膚内部の組織構造が徐々に変形してしまいます。
糸リフト後にみられる組織変化(研究より)
Yordanov 先生は、
2021〜2023年の間に
糸リフト歴のある 10名(平均59歳) を
対象にフェイスリフト手術を行い、
その際に内部組織を詳細に観察しました。
その結果、全ての症例に共通して以下の変化が確認されました。
線維化(Fibrosis):
糸が挿入された部位が硬い瘢痕組織に変化
組織の癒着(Symphysis of layers):
皮膚・皮下脂肪・SMAS層が互いに貼り付く
SMASの可動性低下:
解剖学的に重要な層の動きが悪くなる
手術時間の延長:
剥離が難しく、出血量が増える
これらの変化は、
糸が吸収された後も数年間持続していました。
つまり、
「糸は溶けても、痕跡は残る」 ということです。
研究によると、10名中7名で術後に
皮膚の滑らかさが損なわれ、
ディンプル(dimpling)が残存しました。
組織が硬くなり層が癒着している状態では、
皮膚を自然に再配置(redraping)することが
難しくなります。
その結果、リフトラインが凸凹したり、
表面が滑らかに仕上がらない可能性があります。
スレッドリフトを複数回受けている場合、
手術の難易度と合併症リスクが同時に上昇します。
これらの変化はなぜ起こるのか?
糸リフトで使用される吸収性糸
(PDO、PLLA、PCL など)は
体内で徐々に分解されますが、
その過程でコラーゲン生成を刺激します。
その結果、糸のあった部分が
線維化した瘢痕組織に置き換わり、
時間の経過とともに皮膚と
SMASの間の柔軟性が失われます。
そのため、手術時の剥離が難しくなり、
血管や神経の識別がしにくくなることがあります。
論文の結論
研究の核心は非常に明確でした。
「糸リフトは一時的な効果より、
組織に残る変化のほうが長く続く」
「糸リフト後のフェイスリフトは、
解剖学的に格段に複雑になる」
つまり、繰り返される糸リフトは、
将来的な手術を難しくする
“見えない痕跡”を残すという意味です。
私自身、フェイスリフト手術を多く行う中で、
糸リフト後に手術を希望される方をよくお見かけします。
糸リフトを一度も受けず、
最初からフェイスリフトを選ぶ方はむしろ稀です。
実際の手術症例を見ても、3件に1件は、
以前に挿入されたリフティング糸の痕跡が確認できます。
とはいえ、あまりにも頻繁に遭遇するケースなので、
私としては糸を除去しながら手術を行うことに、
今ではそれほど難しさを感じません。
これは、施術へのアクセスが非常に容易な
韓国の美容外科ならではの特徴とも言えるでしょう(笑)
むしろ最近では、ジュベルックなどの
コラーゲン刺激製剤、脂肪移植、
アキュスカルプ、ボリューム吸引系の施術の方が、
手術をはるかに複雑にします。
リフトアップ用の糸くらいであれば、
むしろ扱いやすい部類で、
きれいに手術を仕上げることができます![]()
糸リフトを何度受けていても、
フェイスリフト手術が不可能になるわけではありません。
ただし、手術前に医師へ
必ず伝えておくべき情報があります。
施術を受けた時期
施術部位
使用された糸の種類
施術回数
これらの情報を事前に共有していただくことで、
手術中に予期せぬ癒着や
線維化に遭遇するリスクを減らし、
より安全に手術を進めることができます![]()
本日の内容は以上になります![]()
最後までご覧下さりありがとうございます![]()
次回もぜひお楽しみにしてください![]()







