さて、加護ちゃん似のC子ちゃんが僕のことを想うように
なったと先輩社員のHさんから聞かされて、
僕はなぜ急速にそうなったのかいろいろ考えた。
ダンスを通じてだと思うが、それからは
そういう機会は遠ざかった。
そしてある日、その店のお嬢さんが言った。
ハニカミ王子はダンスができるそうね。
下の大広間に女子大の友達が来ているので
一緒に踊ってみてよ。
僕は勿論快諾して大広間へ行ってみた。
二十歳くらいの年上のお嬢様たちが数名集まって、
女同士で踊ったりしていた。
やはり、年下とはいえ男もいないとつまらないのだ。
さてそのうちの一人のお嬢様と踊っていたが、
店のお嬢さんが言った。
あらまあ、うちの兄貴のせいね。
君のダンスは夜のダンスよ。
お兄ちゃんは悪いんだなあ。
そもそもダンスは手を振らないの。
腰も振らないの。
いやねえ。まったく。
そして矯正されて、まっすぐ前を見て
手も一定の位置を教わり、
腰の位置を固定していろいろ修正された。
そこで僕ははたと気がついたのだ。
僕のダンスは夜の世界で教わったチークダンス。
夜の蝶がまた来てもらいたくて繰り広げる
チークダンスのテクニックで馬鹿な男たちが
思い出してはまた行くのである。
僕はチークダンスをC子ちゃんに教えていたのだ。
だから必要以上に、親密感があふれてしまったのである。
その後、Hさんが言った。
C子ちゃんは泣いていたぞ。
私はハニカミ王子とは住む世界が違うのね。
どうしたらあきらめられるの。どうしたら、、、、。
僕は罪深い人間である。
神よ許してください。
と、反省する毎日であった。