二代目家具屋のおやじ青春期その10 | 吹けば飛ぶよな家具屋のおやじ

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僕が奉公にあがったお店の若旦那は確か三代目であった。

社長は大病して気弱になって、銀行あがりのしっかり者の

婿さんをとって安泰なお店の運営をしたいと思ったのである。


だが、これはどんなに良い人同士でも面白くないものであり

息子と婿の対立はその後たくさんの事例を僕は見た。

そして、お互いに分かれていくのだが、ここはその後

発展的な社長の判断があって両方とも良くなる。


でも、それはもう7,8年後のことであり、当時の若旦那は

多少投げやりなところがあった。

そこでよく夜遊びに行くこととなる。


ある日、僕にお呼びがかかった。

どうやら喧嘩別れしていた当時の彼女のところへ

独りで行きにくく僕をダシにしたらしい。


そこは川越だったかの小さなスナック。

そこにびっくりするような美人の娘がいた。

それが若旦那の彼女であった。


今にして思えば、昼間見れば大したことはないのだが

当時の僕は夜の蝶など知らなかったから

みんなきれいに見えたものだ。


そこで彼女や他の娘に(といってもみんなおねえさん)

ダンスを教わった。


竜宮城にいった浦島太郎も女に免疫がなかったから

この上ないところであったのだろう。


僕も夢の世界に行ったような気持ちになったものだ。


その後何度かそういう世界に連れて行ってもらいダンスを

覚えた。

ルンバとかブルースとか。


そうしたある日C子ちゃんが言った。

ハニカミ王子はダンスを知っているか

知っていたら教えてほしい。

商店街の会でダンスがあるらしいのである。


僕は快諾した。

C子ちゃんは今でいう加護ちゃんみたいなタイプ。

ナナちゃんは木の実ナナに似た娘。(辻ちゃんではなかった)

二人は大の仲良しで、背の高さもおんなじ。

二人で山奥の村からはるばる出てきて

住み込みでお手伝いさんをしていたのだ。


僕も山から出て行ったようなものだから

親近感はあった。

今でも思い出すと懐かしい。

みんな良い人たちであった。

つづく