2月1日、クーバービル島。
16時、ゾディアックに乗って小さな島クーバービルに
着くと、
ジェンツーペンギン達が海辺の岩場で迎えてくれる。
氷と雪で覆われた島の岩場は僅かなもので、
背後には100m程か雪見だいふくの様な山が控える。
島に先乗りすると、さらに先乗りしている
エクスペディションチームが無線で状況を把握し、まだ誰も
いない真っさらな雪に歩くコースを設営している。
そして何人かの添乗員はその筋に立ちお客様をサポート
するのだが(若手?)の私はいつも一番遠く、高く、険しく
厳しい場所に配置される。
なんつって、そこは絶景だ。
頭上をペンギンのヒナを狙う盗賊カモメが舞う、
山のてっぺんの雪の解けた岩場でじっと営巣をする
ジェンツーペンギン達に、お友達のように寄って来て
ペンギンとにらめっこするがフンだけを突いて飛んでいく。
もうすでに営巣中に授かる2羽のヒナのうち1羽は食べられて
いることがだが、大人と同じくらい成長したヒナは食べられ
ない、もう大丈夫だ。
4つのグループに別れたお客様がペンギンと景色に目を
奪われ私の前を通りすぎていく。
遠くの景色が歪まない、100㌔先の稜線も歪まない南極の
空気は特別だ。
今回はエクスペディションチームの性格か、いや状況か、
沢山の上陸と、沢山の歩くコースを設定してくれている。
もちろん歩く選択はそのうちの一つで、海岸線を歩き
ペンギン達を眺めているだけでも十分だ。
ボートには乗らず部屋のバルコニーからただただ景色を
みてシャンパンを飲んでいるだけで至福だと言うお客様も
いる。
帰り道、ふとあと2日しかないことに心がサワサワした、
あと二日、南極をしっかり目にしておこう。
南緯64度、23時の夕暮れ、
あと2日、船はゆっくり北上を始めた。