2月2日、デセプション島。
朝7時、操舵室からネプチューンの入口に入るとの
アナウンス。
幅230mのその入口を抜けると直径12㌔の大きく丸い
テレフォン湾に入った。
1万年前の大噴火で山が吹き飛んだ。空洞化した
マグマの層に海水が入りカルデラの海となる、
海よりも深く吹き飛ばしたその深さは1500m。
カルデラの内側はより穏やかな良港でチリやノルウェー
の捕鯨基地もあった。1909年には修理のため停泊していた
救難船テレフォン号に因みテレフォンベイと呼ぶ。
1970年の噴火が最後だが、地熱で地表がむき出しな黒い世界、
それから生物もいない、カルデラは水温が高いのか
オキアミが来ない、いや海岸線に赤い死骸が流れ着いている
のでカルデラで釜茹でされるのかもしれない、、
今日も先乗りし山を登り奥へ奥へと行かされる、
何度も噴火を繰り返し至る所に口を開ける噴火口カルデラ、
数人で生物のいない黒い砂の上を無言で歩いていると、
月面でも歩いているかの様な気持ちになる、
無重力の世界だ、最近腹が重い。
湾の内側は穏やかで静けさ漂うが、山の上には雪があり、
さらに今日は風が強い、
お客様が来るまで寝そべって海のカルデラを眺め、
じっと風の音を聞いていた。
先乗りをし、すべてのグループが無事に僕の前を通りゆく
と最後の方と一緒に山を下った、
多くの足跡が残る海岸線に湯気が上がる、
長靴の底で砂を掘ると、暖かい湯が昇ってきた、温泉だ。
海の色と同化した黒い大地、これもまた南極だ。