猫の慢性腎臓病(CKD)は、実際には単に腎臓の問題だけではなく、

全身の血管や血液循環系に関連した疾患です。


1. 腎臓と血管の関係

腎臓は、体内の血液を濾過し、老廃物や余分な水分を尿として排泄する重要な臓器です。

この濾過機能は、腎臓の糸球体と呼ばれる血管の束のような組織で行われます。

糸球体は非常に細かく、血圧や血流の変化に敏感です。


2. 慢性腎臓病の進行と血管の影響

慢性腎臓病では、糸球体や腎臓内の毛細血管が損傷し、機能が低下します。

これは、高血圧や炎症などによるもので、血管の健康状態が腎臓の健康に直接影響を与えます。

オメガ脂肪酸にこだわるスペシフィック 腎心肝アシスト




3. 高血圧と腎臓病

高血圧は、腎臓の毛細血管に過剰な負担をかけ、慢性的なダメージを引き起こします。

このダメージが進行すると、腎臓の機能がさらに低下し、慢性腎臓病が悪化します。

卵が先か?ニワトリが先かの論点のようですが、

慢性腎臓病が進行することで、血圧がさらに上昇するという、悪循環も生じます。



4. 血管の硬化と腎機能

猫の動脈硬化については研究論文◦報告が少ないですが、

人の慢性腎臓病では、動脈硬化などの血管障害は、腎臓への血流を減少させ、腎臓の酸素供給を阻害します。

それによって、腎臓組織がさらに損傷を受け、機能が低下することが知られています。


5. 血管を意識した治療

猫の慢性腎臓病の治療薬に「ラプロス」というお薬があります。

このお薬は、腎臓の血管や細胞を守り、血流を良くする働きがあります。

また、体の中の炎症を抑えたり、血液が固まりにくくする効果もあります。


また、フォルテコールのようなACE阻害薬や、セミントラというARBと呼ばれる降圧剤が処方される場合もあります。

高血圧の存在を確認してから使用することが原則ですが、高血圧を管理して腎臓の血管を保護するという治療目的があります。





猫の腎臓病がわかる本 [ 宮川 優一 ]