犬神サアカス團 犬神明オフィシャルブログ「呪ってポン!」Powered by Ameba -2ページ目

ドラム道30

小川宜一先生のスペースサーカスはライブでしか演奏されない曲がいくつかあって、それがまた超絶テクニックが飛び交う曲ばかりなんだよ。

例えばギターが4小節の美しいメロディを奏でるバックで、ドラムとベースがグルーピング5のアクセントを延々続けるポリリズムなフレーズは今でも憶えてる。
つか当時、これを必死にコピーしたおかげでグルーピング5の感覚が身についたんだよね。有難いフレーズだ。

それはこういうフレーズだった。

1小節目は
ツタツツ・タツタツ・ツタツタ・ツツタツ
2小節目は
タツツタ・ツタツツ・タツタツ・ツタツタ
3小節目は
ツツタツ・タツツタ・ツタツツ・タツタツ
4小節目は
ツタツタ・ツツタツ・タツツタ・ツタツツ

となるんだけど、最初は仕組みも分からないまま、ただこのフレーズを暗記しようとしたのね。んでフレーズを歌ってるうちに、ゲシュタルト崩壊が起こって「タツタツツ」っていう5文字が連なってるだけに感じちゃったわけよ。
4拍子を感じながら、その中で5文字がズレていく気持ち悪さがたまらなく気持ちいいのよ。これがグルーピングってやつね。グルーピング3は円広志さんの夢想花のサビ「♪飛んで飛んで飛んで飛んで…」でお馴染みでしょ?あとツェッペリンのロックンロールのキメ「♪ロンリロンリロンリロンリ…」とか百恵ちゃんのロックンロール・ウィドウの「♪カッコカッコカッコカッコ…」とか。エマニエル夫人のテーマやインザ・ムードのAメロなんかもそうだね。
グルーピング3はポピュラー音楽でよく使われるイデオムだけど、グルーピング5は民族音楽レベルの特殊なものだ。
近年ではオリエンタル・ラジオさんのネタ「武勇伝・武勇伝〜」の部分がグルーピング5で成り立っているのが珍しい現象だね。

それはともかく、ベースの岡野ハジメさんはこのフレーズをオクターブのスラップで演奏し、小川先生はアクセントをキックとハイハット・オープンで合わせ、その他はスネアのゴーストノート(小さい音)で埋めて演奏なさっていた。
手順はRLRLL。1度実践で見せてもらったことがあるので間違いないw

これが出来ると、なんか面白くなっちゃって、どんどんこの手のフレーズに挑戦したくなった。ポリリズムに対するモチベーションが上がったね。






ドラム道29

ハワイから帰ったら「横浜ハイスクールホットウェーブフェスティバル」を主催するスリーベースカンパニーの山本進一社長から電話があった。

ハワイでの俺の演奏が良かったので、うちから売り出すバンドに入りなさい…と。

社長の山本進一さんはドラマーでね、寺内タケシとブルージーンズやGSのシルビーフォックスで名を馳せた人なんだ。だから俺は社長に興味があった。

そんな社長からの話、よく分からないけどバンドでデビュー出来そうな話だったのでOKしたよw
俺はハードロックやヘヴィメタルがやりたかったんだけど、そのカモンベイビーってバンドはもう少しポップスよりなのだという。

で、さっそく会ってみたら、なんとハワイでロック談義した高橋洋樹くんのバンドだった。で、高橋くんの歌声がカッコよくてさ、ちょっとデビッド・カバーデイルみたいな声なんだ。これは逸材だと思ったよ。実際、デビカバやポールロジャースの物真似やるとソックリだったw

その後、高橋くんはソロでドラゴンボールの主題歌「魔訶不思議アドベンチャー」を歌ってヒットした。当時はアニメやアニソンが現代のように盛り上がってなかったから、本人は恥ずかしがってたけど、あの歌を歌ったのは凄いことだよね!







ドラム道28

そんなある日、高校生の時に出演した「横浜ハイスクールホットウェーブフェスティバル」のスタッフから電話があった。
「うちの会社で企画してるハワイで演奏する旅行があるんだ。ドラマーが参加できないバンドがあるので、代わりに叩いてくれない?」と。

話によると、ハワイ某大学の音楽祭に日本から5〜6バンド参加するらしい。その中に女の子だけのメタルバンドがあるのだが、ドラマーの都合が突然悪くなったのだという。ハワイへの旅行費用はなんとかしてくれるとのこと。

そんなのもちろん行くわ!

初めてのハワイがまた最高だったね。
気候も食事もショッピングも人間も最高だったよ。一緒に行った日本のバンドたちとも和気あいあいで雰囲気が良かった。

出演バンドの中でメタルバンドは我々だけで、あとはフュージョンだったりハワイアンだったりポップスだったり、ソフトでアダルトなバンドばかりだったな。

当時はLAメタル・ブームの真っ只中だったし、女の子バンドも珍しかったから、我々の演奏は物凄くウケた。女の子たちも上手だったしね。5曲くらい演奏したかな? いやぁ楽しかったねぇ。

音楽祭での演奏が終わると、ある青年が話しかけてきたんだ。すごく良かったって。この青年がまた熱い男でさ、後に一緒にやることになるボーカリストなんだけど、とりあえず朝までロック談義したわw





ドラム道27

高校生の頃からずーっと日本のハードロックが好きだったね。

カルメン・マキ&OZ、紫、四人囃子、バウワウ…。もちろん、その後のジャパメタも大好きだったよ。NOVELA、アースシェイカー、44マグナム、ラウドネス、浜田麻里さんとかね。

1983年、高校3年のとき沖縄ハードロックバンドの紫が一時的に再結成したんだ。紫は大好きだったけど、俺が知った頃には既に解散していたんだ。ドラマーの宮永英一さんは解散後にヘヴィメタルアーミーや河島英五さんのバックバンドで活躍されていたが、実際にライブを観たことはなかった。

そんなわけで再結成した紫の日比谷野音公演を観に行ったんだ。
1983年の10月9日だった。


人生が変わる瞬間っていうのかな?


あんなに音がいいライブは初めてだった。
あんなに雨が降った野音は初めてだった。
あんなにカッコいいドラマーを観たのは初めてだった!ガーン!

それ以降、現在に至るまで俺はいろんなドラマーを見てきたよ。国内外のいわゆるトップドラマーたちを見てきたよ。ガッドも見たよ。ニールパートも見たよ。カルホーンも見たよ。

しかし!この時の宮永英一さん以上に感動したことはないぜ!

本当に凄かった!
ドラムだけでも凄かったのに歌もうまかった!
さらにMCではお茶目さんだった。


これは惚れるでしょ?


なんとか、もう一度観たいと思ってたんだが、紫は沖縄に帰ってしまった。

その一年後、ある友達が沖縄に宮永さんに会いに行くので一緒に行かないか?と誘ってくれた。
「行く行く!死んでも行くー!」と連れてってもらったんだ。

沖縄のコザ市にあるキャノンというライブハウスで宮永さんは毎晩出演されていた。
そのバンドでは宮永さんはボーカルを担当されていたんだけど、ステージ休憩中に、俺が本土からわざわざドラムプレイを観に来たことを伝えると、次のステージでは30分のドラムソロをやって観せて下さった!
何という歓迎ぶり!
しかも野音で観たソロよりもストイックでパワフルなソロだった!
すげー!!カッコいいー!!

まさに人生が変わったね!
宮永さんは俺のアイドルだ!
















ドラム道26

専門学校に通いながら、地元同年代の仲間達とバンドを組んだんだ。
地元楽器店主催のコンテストなんかで知り合った仲間達だ。BEAT JUNKYってパンクっぽい名前のバンドだったけど、ボーカル佐藤くんの個性を活かしたハードなコミックバンドって感じのコンセプトだった。このときから曲も書き始めた。

オリジナルのレパートリーが3曲くらい出来たとき先輩から電話があった。

「北小金駅前の『ベルゴット』ってキャバレーを毎週借り切ってライブやるから手伝ってよ」

「えっ?!俺、何やるんですか?」

「まあ、ブッキングとドリンクとPAと照明とバンド出演だね」

「…ぜ、全部っすか!」

でも面白そうだったので引き受けたよ。
店の名前は「STAGE-V」になった。
スタッフが足りないので地元バンドの連中に声かけて仕事を分担したんだ。
現在AUTO-MODのEBYちゃんや、レディースルームのGEORGE、現在ジャニーズ作曲家の塙一郎はこのころの仲間なんだ。

BEAT JUNKYはほとんど毎週のように出演した。出演バンドも少なかったからね。しかし、なんせレパートリーが3曲しかないので30分のステージが持たないんだ。仕方ないので漫才をやったり、音楽コントやったり、アドリブでブルースを延々やったり…メチャクチャだったww

当時の「音楽コント」のネタ帳が今でも残ってる。見てみると…

【悲しみ】
mc「昨日、僕の飼っている犬のジョンが死にました。13年連れ添った大切な家族でした。毎日散歩に行きました。でも、ジョンはもういない。。この気持ちを歌にしたので聴いて下さい。タイトルは『悲しみ』です。」
イントロはスローテンポ、マイナー調の循環コードで16小節。やっと歌が始まり
「♪か〜な〜し〜 …みー!」
〜エンディングかき回して終わり。

【哀愁】
mc「昨日、恋人と別れました。(省略)その気持ちを歌にしたので聴いて下さい。『哀愁』です。」
イントロはスローテンポマイナー調の循環コード16小節から、ためて歌が始まる。
「♪あい、しゅ!」
〜エンディングかき回して終わり。

【あっと言わせる歌】
mc「俺たちはロックバンドだ。ロックバンドっていうのはラディカルじゃなきゃダメなんだ。ショッキングでなきゃダメなんだ。今からあっと言わせる歌をやるぜ!カモン〜!」
ドラムカウント
(ワン、ツー、ワンツースリーフォー!)
「あっ!」
〜エンディングかき回して終わり。

【突然、金縛り】
mc「昨夜、俺が体験した世にも恐ろしい超常現象を歌にしたので聴いてくれ…『突然、金縛り』。
ヘイ!カモーン!」
ドラムカウント
(ワン、ツー、ワンツースリーフォー!)
「……。」→3秒間、微動だにしない。
〜エンディングかき回して「突然、金縛りでしたー!ありがとう!」で終わり。


こんなことばっか考えてたなww