【香港国家安全法が香港基本法(香港の最高法規)に沿った適法かつ正当な法律であることについて】

中国の立法機関である全国人民代表大会が、香港の平和と経済活動を守るため、「国家安全法」を制定することを決定しました。

「国家安全法」が必要とされる経緯および「国家安全法」の合法性については、CGTNのインタビュー(英語)の中で、香港の政治家で全国人民代表大会・基本法常務委員会・副委員長の譚惠珠(Maria Tam Wai-chu)がきわめて明快に説明しています。同インタビューの動画は、こちらでご覧いただけます。


[全国人民代表大会・基本法常務委員会・副委員長の譚惠珠(右)]


イギリスから中国への香港の返還に向け、1990年、香港の最高法規として香港基本法が制定されました。その23条は、次のように規定しています。

「香港特別行政区は、 あらゆる国家に対する叛逆、 国家の分裂、 叛乱の煽動、 中央人民政府の顛覆及び国家機密の窃取の禁止、 外国の政治的組織又は団体が香港特別行政区において政治活動を行うことの禁止、 並びに香港特別行政区の政治的組織又は団体が外国の政治的組織又は団体と関係を構築することの禁止について、 自ら立法を行わなければならない。」[1]

すなわち、中国政府に対する反逆、分離、扇動、転覆活動を取り締まるため、香港行政区が、香港の安全保障法を自ら立法することが義務付けられていたわけです。

これまで、中国中央政府は、「一国二制度」の下、香港の高度な自治を尊重し、香港行政区が安全保障法を制定することを期待し、待ち続けていました。

しかしながら、香港行政区の議会は、返還から23年が経った現在も安全保障のための法律を制定していません。議会内の反対派が安全保障法の成立を妨害しているためです。

このように、香港には安全保障のための法律が存在しないという法律の抜け穴を利用して、香港では昨年来、過激なデモが野放しにされてきました。香港議会の機能不全が無政府状態を招いてしまったわけです。







香港では過激活動家が火炎瓶を投射し、バリケードを炎上させています。一般の市民には、火炎瓶の取扱いは到底不可能です。火炎瓶を投射する香港の過激活動家は、MI6やCIAなど、イギリス・アメリカの情報機関が訓練したものと思われます。過激活動家は、イギリスやアメリカの国旗を翻し、イギリスやアメリカ政府の介入を求めています。


このような状況の下、中国の中央政府と全国人民代表大会は、香港そして中国の国家安全保障のため「国家安全法」を制定することにしました。


[2020年5月に開催された第13回全国人民代表大会]

本来、国家安全保障に関する法律は、地方政府や地方議会が制定するものではなく、中央政府が制定するものです。言い換えますと、「一国二制度」のうち、国家安全保障は、まさに国家すなわち、「一国」の方に属する内容と言えます。

香港議会が安全保障法に関し機能不全に陥っている以上、本来安全保障について権限を有する中央政府が、香港そして中国の安全保障のため、香港の安全保障法を制定することは正当であり、必要なことと言えます。これは、「一国二制度」と何ら矛盾するものではありません。

「国家安全法」が取り締まるのは、破壊活動を続ける過激派集団です。平和的なデモや集会は取締りの対象とはなりません。言論や集会の自由は制限されません。過激なデモ活動や破壊活動は、市民の安全と自由を脅かし、民主主義を阻害する行為と言えます。

イギリスやアメリカを始めとする西側メディアは、「国家安全法」の導入を、一国二制度の終焉(the end of one country two systems)あるいは自由の弔鐘(‘death knell’ for freedoms)などと表現していますが、これらの批判は全くあたらないと言えます。


昨年来の過激なデモ活動に辟易している香港市民の多数は「国家安全法」への支持を表明しています。


[香港市民による「国家安全法」立法を支持する署名活動]


また、香港の経済界も「国家安全法」を歓迎しています。CGTNのインタビュー(英語)で、企業家で香港各界婦女連合協進会顧問の伍淑清(Annie Wu)が香港ビジネスの声を代弁しています。同インタビューの動画は、こちらでご覧いただけます。


[企業家・香港各界婦女連合協進会顧問の伍淑清(右)]


今後、中国の全国人民代表大会・基本法常務委員会が中心となって、「国家安全法」の具体的な内容および条文が詰められて行くものと思われます。

過激なデモ活動や破壊活動が取り締まられることで、香港に平和と安定が戻り、香港の経済活動が本来の姿に戻ることが期待されます。




参照資料:
(1) 香港基本法をめぐる諸問題、レファレンス 平成16年12月号


註記: 上記の見解は、私個人のものであり、いかなる団体あるいは政党の見解をも反映するものではありません。
私自身は、いずれの政党・政治団体にも所属していません。あくまでも一人の市民として、個人として発言しています。民主主義と平和を実現するために発言しています。