長い間、欅という樹に惹かれている。
生まれた育った広島地方ではあまりこの樹に馴染みは無かったので、吉祥寺の母校にはそれは見事な欅の並木があり新入生の私には非常に新鮮だった。
真夏の繁緑、晩秋の紅葉、冬の樹映も良いが、若葉が芽吹き始めるこの季節の欅が特に印象に残っている。
自宅近くには母校の欅並木以上の立派な欅の並木道があるので吉祥寺に行かなくても好きな欅並木を楽しめるのがいい。
今年もまた薄緑のトンネルが日差しに映えるようになってきた。
並木でなくても欅は快適な木陰を提供してくれる。
たまプラーザ駅近くのデパートのテラスで快い木陰を作ってくれるありがたい欅がある。
春はまだ遠い3月初旬、その一本の欅の荒々しいシルエットが気に入りスケッチしていた。
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そして、昨日2ヶ月前のあの欅もさぞかし、と思って、そのテラスに行ってみると何とも無惨な姿。
同じ欅の枝は更に切り落とされ、樹皮はめくれているではないか。
もう一本の欅がその樹に手を差し伸べるように立っているが姿が悲しげだった。
手を差し伸べる木、襷に似ている木が「欅」か。
欅がますます好きになった。