団塊オヤジの独り言 | interior4141のブログ

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『さぁ、インテリア大好き人間はこの指とまれ!!』
と始めた当Blogもいつの間にやら団塊オヤジの呟きに• • •


65歳で(株)日本国の正社員となり半永久??有給休暇を取得

今は気楽なシニアライフを楽しむ身として日々感じたことを書き留めていきます

「あれっ❓❓
 鍵がかかっているぞ❗」

先週のとある日、
ちょっと早めに仕事が終わり、
いつもより45分ほど早く、
18時前に家に到着した。

玄関扉のドアハンドルを、
ガチャガチャしながら、

「出掛けているわけないし❓❓
 変だな❓❓❓」

と、独り言。

右肩から左腰に掛けた
お気に入りの小さな黒革のポシェット
のファスナーをひらき、
ゴソゴソと手を中にさし入れ、

丁度、
キーホルダーを探し当てた
その時、

「あ~~ァ、ゴメン、ゴメン」
と、甲高い声を発しながら、
カミさんが、息を弾ませ、
内側からドアを押し開けた。

亭主は、
「あ~~ぁ、
 また、閉め出しくっちゃった❗❗」
と、軽い嫌みを挟みながら、

「変だと思ったよ。
 いつまでもLINEが既読に
 ならなかったから・・・ 
 どうしたんだろう❓❓
 と思っていたんだよ」

「え~~ェ、LINE入れたの❓❓
 全然、気が付かなかった」

カミさんは、
声のトーンをやや抑え気味に、
少し、疲れ気味の声で続けた。



亭主は、
毎日欠かさず、
帰宅の途につくタイミング、

電車に乗る寸前に、
必ずカミさんに、
帰るコールのLINEを入れる。

これは、
このオヤジの
最低限のルーティンであった。 

過去、
現役でバリバリ仕事をしている頃、
何時に帰宅するのかもわからない、
家で夕食をとるのかもわからない、

そんな亭主のあやふやな行動で、
家事を預かるカミさんとしては、 
どんなに迷惑を受けていたことか。

その結果、
夫婦喧嘩が勃発。

そんな事が重なって、
まずいと感じた亭主が、

60を過ぎる頃から、
帰るコールをするように
なったのだ。

しかし、
もう60過ぎになれば、
毎日の生活は落ち着いたもので、
家事に迷惑をかけるような
イベントもすっかり無くなり・・・

毎日、ほぼ規則正しく、
決まって、
夕方6時過ぎに、
携帯が着信の合図を知らせる。


10年前はまだLINEもなく、
携帯のメールで、
毎日、これから×××を出ます、

と、定文履歴が繰り返された。

今は、
流行りにのって、
絵文字で。


帰るコールの絵文字スタンプは、
LINE Keepに5つほど入っていて、
その日の気分に合うものを選び、
そのスタンプにタッチするだけ。

この日は、
チョット偉そうに、
『帰るぜ❗❗』という、
カエルが胸を仰け反るやつだった。





このスタンプの時は、

決まって、
カミさんからは、
『わかったぜ!!』
と、返信が入る。

そこには、
お互いが、
相手に服しないという
ささやかな意地が見え隠れする。

こんな、
塾年(高齢)夫婦でも、
これはこれで、
LINEというやつを
楽しんでやっているのだ。







上から、
気分良くカエル時の気持ち
を表している。



先ほどの一言から、
やや間をおいて、
カミさんが、言葉を続ける。

「今日は、久し振りに天気が
 良かったから、陽の沈む頃から
 庭いじりをしてたの。
 そしたら疲れちゃって。
 そのあと、ちょっとソファで横になったら・・・
 そしたらついウトウトとしちゃって・・・」

まだ、
カミさんは何か言いたそうたったが、

亭主が、
そこに言葉を挟む。

「俺だって、
 今日はチョットした力仕事をして、
 まして暑かったからメチャクチャ疲れたよ」

悪気があったわけではないが、
亭主のこのひとことは、
お互いの疲れ競いという闘いの上での
挑戦的発言と、
カミさんには聞こえたようだ。


手早く、
部屋着に着替え、

自分の定位置である
ソファのカウチ部分に、
ドンとその身を投げ出し、

短い足をクロスさせた亭主を見て、
カミさんが、追い討ちをかける。

「あなたはいいわね。
 疲れたからって、
 そうして休めるものね。

 主婦は24時間、休みなし❗❗
 疲れてても夕飯の準備しなけりゃ❗❗❗
 
 まるで、私は家政婦💢💢💢」


いつもの台詞が始まった。
しかも、語気を強め、
投げやりな言い方になるのが常だった。

亭主は、
この言葉が一番嫌いだ。

この言葉が出ると、

内心穏やかではなくなる。

即、その瞬間、

「じゃぁ俺はなんなんだ❗❗
 外で、仕事して金を稼ぐ。
 ただの日雇い労働者か💢💢💢」

あ~~ぁ、
始まってしまった。

もう、あとには戻れない。

ここまで来ると、
二人の会話はいったん終わる。

あとは、ただ沈黙。


いつものように、
カミさんは、
チョット深いタメ息をつき、
やや大きめの足音をたてながら
キッチンに向かう。

そして、
怒りを包丁にのせ、
向こう三軒両隣にまで聞こえそうな
勢いで、強く❗❗まな板を叩く。

亭主は、
黙って夕刊を見ながら・・・
黙秘権を行使する。


「家政婦か。
 でも、家政婦は立派な仕事だよ。
 
 主婦とは家政婦のプロじゃないか。
 腕に磨きをかけ、家事を極める。
  
 もっと、胸を張って、
 私は、世界一の家政婦のプロだって、
 なんで、そう思えないんだろう❓❓

 家事にプライドを持てば、
 自分の人生変わるのにな。
 

 それに対し、
 男は、
 プロの稼ぎ屋だ。

 周りを7人の敵に囲まれながら、
 自分の仕事を極めていく。

 大変だけど、遣り甲斐もある。
 たまには❓❓失敗もするけど、
 その分、次で挽回しようと、
 また、奥歯をぐっと噛み締める。

 女も男も、
 みんな大変なんだ。

 心の支えは、
 そんな状態でも、
 どれだけ、自分の仕事に誇りが持て、
 どこまて、プロ意識が持てるか❓❓
 
 だと、そう思うんだが・・・」


もちろん、
これは声にはならない。

亭主は、
心の中で、
こんなことを、
呟いている。


先程から
外は雨模様。

雨粒がちょっと激しく
窓ガラスをたたく。

耳を澄ませば、
自宅の前の
田植えが終わった田んぼから、
カエルの合唱が聞こえる。

カミさんと亭主。

二人きりの時間。

その二人の心は、
静寂の海底に沈み、
漆黒の暗闇のなかで、

それぞれがそれぞれの
違う思いを胸に、
さまよい泳ぐ深海魚のよう。

ただ、ただ黙って、
夕食の箸を口に運ぶ。


今回は、
2日かな?
それとも3日かな?

ふたりが当たり前の会話を
取り戻すのに・・・

もう暫く、
続くだろう時間に、
漠然と思いを巡らし、

亭主は、
静かに、
飲みほしたビールのコップを
テーブルに置いた。

コツンと、
乾いた音が、
部屋中に響く。

なが~い、なが~い、
夜の始まりである。