岩戸に隠れてしまったアマテラスをどうにかして外に出すべく、
神々が集まって作戦会議をしました。


ここに、常世(とこよ)の神、オモイカネが登場します。


さて、今まで出てきた世界には、

天である『高天原(たかまがはら)』

地上世界の『葦原中国(あしはらのなかつくに)』

死者の世界『黄泉の国(よみのくに)』

の3つがありました。


この他にもう一つ、『常世(とこよ)』
という世界が存在します。

常世とは、永久に変わらない世界で、
不老不死が与えられる理想郷だそうです。


その常世からも神がやって来て、アマテラスを外に引っ張り出すための策を編み出しましたのです。

常世の神、オモイカネの主導で、アマテラス誘き出し作戦の準備が進みます。


まず、常世から鶏を集めて来て、鳴かせました。

次に、堅い岩と鉱山の鉄を採り、鍛冶師の神々に命じて『八咫鏡(やたのかがみ)』を作らせます。

さらに、アクセサリー職人の神に命じて、『八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)』を作らせました。


そして、アマテラスが隠れている岩戸の近くに木を探し、
その枝に『八尺瓊勾玉』と『八咫鏡』をかけます。


最後に、岩戸のそばに力持ちの神を控えさせて準備万端。



さあ、いよいよアマテラス誘き出し作戦のスタートです!




勘当されてしまったスサノオ。
まあいいや、逆にラッキーと思ったかどうかは分かりませんが、
黄泉の国に行くことにしました。


ただその前に、姉であるアマテラスに挨拶をしようと思い、高天原に向かいます。


しかし、アマテラスは
「やばい!暴れん坊のスサノオがこっちに来てるわ!
きっとアイツ、この高天原を奪いに来たに違いないわ!」
と勘違い。

迎え撃ってやろうと、弓矢を構えてスサノオを待ちます。


困ったのがスサノオです。

「ただ姉ちゃんに挨拶しようと思っただけなのになぁ。
このままじゃ殺されちまうかもしれん。」

そこでスサノオは、アマテラスの疑いを解くために『ウケヒ』をしようと思い付きます。

『ウケヒ』とは誓約のことなのですが、
どっちかというと賭けだと思った方が分かりやすいです。


スサノオはアマテラスに勝負を持ちかけます。

スサノオ、アマテラス双方の持ち物から、新たに神を生み出す。

スサノオが潔白で、高天原を攻めるつもりなどないのならば、
スサノオの持ち物から生まれる神は優しい女神になるだろう、と。


この『ウケヒ』、賭けによって、
スサノオは自らの潔白を証明しようとしたのです。



そして結果、アマテラスの持ち物からは男神が、
スサノオの持ち物からは女神が誕生しました。


スサノオの潔白が証明されたのです。



アマテラスは安心してスサノオを高天原に迎え入れます。



ところが、スサノオは高天原を攻めるつもりはありませんでしたが、
元来が暴れん坊のジャイアン気質。

田んぼや畑の作物を
「お前のものは俺のもの」
と理不尽な理屈で勝手に食べたり、

田んぼにイタズラして水路を埋めたり、

アマテラスの住む御殿の敷地にウンコをばらまいたり、

好き放題やらかしました。



高天原に住む神々は
「アイツをなんとかして下さいよ!」
とアマテラスに泣きつきます。

しかし、アマテラスにとってスサノオは弟。

「ごめんね…。でもきっと、あのコにはあのコの事情があるのよ…。」
と、スサノオを庇いました。





そんなある日。

アマテラスが、他の神にプレゼントするために、はた織り機で衣を織っていた時、
スサノオは屋根に穴を空け、
その穴から皮を剥いだ馬を落とすという、とんでもないことをやらかします。


アマテラスと、はた織りを手伝っていた付き人たちは、大パニックになりました。


そして大パニックの最中、
はた織り機の部品が付き人に刺さり、
その付き人は死んでしまったのです。



この出来事にアマテラスは心を痛め、同時に怒りを覚えます。

そして、『天岩戸(あまのいわと)』と呼ばれる洞窟に引きこもってしまいました。


太陽の象徴であるアマテラスが隠れてしまい、
高天原も、葦原中国も闇に覆われ、
様々な災いが生じることとなりました。

命からがら黄泉の国から逃げ帰ったイザナギは、
まず死の世界で穢れてしまった自分の身体を清めようとします。

これを『禊(みそぎ)』と言います。


禊を行うために、イザナギは筑紫(つくし…今の九州)の日向(ひゅうが…今の宮崎県)へ向かいました。

きっと身体を清めるのに適した、綺麗な川があったのでしょう。


川に入り、身に付けていたものを脱いでいくと、
杖や帯、褌、衣、腕輪などから12柱の神が生まれました。

そして身を清めていく中でも、多くの神々が生まれます。



そして禊の最後に、3柱の神が生まれます。


左目を洗ったときに誕生したのが

アマテラス



右目を洗ったときに誕生したのが

ツクヨミ



鼻を洗ったときに誕生したのが

スナノオ



でした。


アマテラス
ツクヨミ
スサノオ

の3柱の神が生まれたことをイザナギは特に喜び、そしてこの神々を
『三貴子(みはしらのうずのみこ)』
と呼びました。


そしてイザナギは、アマテラスとツクヨミに対し
「ともに協力し、高天原を治めよ」と、
スサノオに対しては
「海を治めよ」
とそれぞれ命じました。


しかし、スサノオはそれを泣いて拒みます。

「いやだ!
オレははそんなところに行きたくない!
母上は!?母上はどこですか!?
母上のところに行くー!!」


と駄々をこねて暴れまくり、天地に多大な被害をもたらしました。

母上、というのはイザナミのことです。
イザナミがいる黄泉の国に行きたい、そう訴え、暴れたのです。


これにイザナギは激怒し、
「それならば出ていけ!お前なんかどこかに行ってしまえ!!」
と言い放ち、スサノオを勘当。


そして怒ったイザナギは淡路島に引っ込んで、籠ってしまったのでした。





日本神話におけるイザナギとイザナミの出番は、これで終わります。

以後、物語の主役は三貴子に移ります。


次回、駄々をこねるスサノオのせいで、ついにアマテラスが岩戸に隠れる!