観戦記 内山高志vsジェスレル・コラレス | ボクシング独我論~最高の技術と,戦術眼と,知識を,君に~

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試合結果:コラレス2回KO勝利





時間も立っているので以下簡潔に

1.王者の敗因は?
初回2:20辺りで食った左。ここで勝負が決してしまった。

ロープ際をサークルする相手に左を伸ばした状態から打ち込んだ右(ワンツーでなくむしろ右ダイレクト)をインサイドダックで交わされ腰とスタンスを起こしながら左を捩じ込まれた。
打ち終わりを狙うカウンターと言うより、更にワンテンポ遅くディフェンスムーブを決めきった状態から復元と同時に打ち込んだパンチ。
食った側としては予期できるものではなかったはず。打ち終わりの意識が高く見切りが良いボクサーだからこそ食ったパンチとも言えるかもしれない。


2.コラレスの勝因は?
身体能力とフットワーク。1.で言及したカウンターで見せた身体能力は勿論、3、4発目まで続けてパンチを強振できる足運びがあり、パンチと距離の掌握が前提である王者のディフェンスシステムを決壊させた。

3.挑戦者を舐めていたのか?
決して舐めてもいなかっただろうし、調整も抜かりなく、モチベーションの面でも問題なかったはず。初回の両者の出方を見ても相手へのリスペクトが感じられる。しかしその初回、互いに奥手スイングを振って、処理して、踏み変えながら距離を詰め、と技巧とボクシング理解を張り合うようなパワーゲーム…
1.で挙げたシーン、体勢から逆算するとこれが裏目に出た形と言えるかもしれない。直接の敗因と言うよりは結果論に近いが…
メイウェザー、GGG、ロマゴン、SOG、パッキャオらも同様の試合運びを見せ、リスペクトを勝ち取ってきたが彼らやコラレスにあって内山に無いものは?
ボクシングってのは残酷な競技だね。