ラジオから、ジョン・レノンの曲が2曲続けて流れてきた。
「Happy Xmas (War Is Over)」
そして「Imagine」。

この時期になると、毎年のように耳にする定番の2曲だ。
けれど、今年は少し違って聴こえた。
世界は混沌としている。
戦争、分断、対立、経済不安。
ニュースを追えば追うほど、
「明日がどうなるのか分からない」という感覚が、
以前よりも確かなものとして胸に残る。
一方で、世界はかつてないほど“つながって”もいる。
グローバル化が進み、
遠い国の出来事や、
これまで聞こえてこなかった声が、
瞬時に届くようになった。
ただ、その分だけ
声は増え、情報は溢れ、
何を信じ、何を考えればいいのかが
分かりにくくなったのも事実だ。
そんな今だからこそ、
この2曲が持つ意味を、
改めて考えさせられる。
「Happy Xmas (War Is Over)」は、
強い主張の歌ではない。
正義を振りかざすわけでも、
答えを押しつけるわけでもない。

ただ、こう問いかけてくる。
戦争は終わった。
君がそれを望めば。
理想論だ、と片づけることは簡単だ。
現実はそんなに甘くない、と。
それでもこの曲は、
「どう思う?」と、
聴く側に問いを投げ返してくる。
戦争がなくならない世界で、
それでもなお「終わった」と歌うこと。
それは現実逃避ではなく、
想像力を失わないための意思表示なのかもしれない。
「Imagine」は、今や“平和の象徴”のように扱われている。
けれど、この曲が語っているのは、
「こうあるべきだ」という答えではない。

ただ一言、
想像してごらん。
そう言っているだけだ。
国家も、宗教も、所有も、
一度すべてを頭の中で外してみる。
否定ではなく、
考えるための余白をつくる行為。
正義や主張が溢れる今の時代だからこそ、
この余白が、
以前にも増して重く、静かに響く。
クリスマスは、
華やかで、にぎやかで、
消費の季節でもある。
けれど本来は、
少し立ち止まり、
人のことを考える時間だったはずだ。
ジョン・レノンのこの2曲は、
祝祭のBGMでありながら、
どこか落ち着かない気持ちにもさせる。
それはきっと、
「世界は本当にこのままでいいのか?」
という問いが、
静かに込められているからだろう。
そして、もうひとつ。
この季節になると、
必ず思い出すフレーズがある。
Do They Know It’s Christmas?
クリスマスが来るってこと。
ちゃんと気づけるのかな。
派手なサビでも、
強いメッセージでもない。
ただ、相手の立場に立って想像するための、
小さな問いだ。
世界のどこかでは、
今日が何の日かを考える余裕すらない人がいる。
それでも、
「気づけるのか?」
と問うことを、やめていない。
答えを出さなくてもいい。
正しさを競わなくてもいい。
ただ、想像する。
それは「Imagine」が語り続けてきたことと、
どこかでつながっている。
クリスマスは、
祝うためだけの日じゃない。
想像力を取り戻すための日でもある。
ラジオから流れるジョンの声と、
遠くで響くこの問いかけが、
今年の師走、静かに重なって聴こえた。





