ニュースで高市総理の映像を見ていたとき、ふと耳に入ってきた曲に違和感を覚えた。
「あれ? この曲、なんだっけ?」
すぐに思い出した。
1984年、SONYのカセットテープCMで流れていた
Overnight Success だ。
この曲、実はアメリカではシングルとしてリリースされていない。
発売されたのは日本とオランダのみ。
それなのに日本ではしっかりヒットし、オリコンチャートにも入っていた。
いかにも80年代の日本らしい話だ。
洋楽が「音楽」であると同時に
「ライフスタイル」や「未来の匂い」を運んできていた時代。
SONYのCMとセットで記憶している人も多いはずだ。
タイトルは直訳すれば「一夜にして成功」。
成り上がりでも、虚勢でもなく、
努力の果てに突然スポットライトが当たる、あの感じ。
初の女性総理として登場し、
一気に支持率を伸ばした
高市早苗
の今の状況に、確かに不思議なほどフィットしている。
しかも、この曲は
「スタッフが選びました」
「代理店が用意しました」
という感じがしない。
報道によると、自宅にあるレコードや音源の中から選んだらしい。
それを聞いた瞬間、腑に落ちた。
この曲を“今”選ぶには、
80年代の日本で洋楽をリアルタイムで浴びていた記憶が必要だ。
チャート知識だけではまず出てこない。
さらに、HR/HMにも造詣が深いという話を聞いて、
個人的には一気に親近感が湧いた。
ジャンルを越えて音楽を聴いてきた人の棚には、
こういう曲がちゃんと残っている。
ここでどうしても思い出してしまうのが、
ドナルド・トランプの一件だ。
歌詞の意味もろくに理解せず、
Born in the U.S.A.
を愛国ソング扱いで使い、
作者のブルース・スプリングスティーン本人から批判された、あの有名な話。
あれは「音楽を記号としてしか見ていない」典型例だった。
それに対して今回の「Overnight Success」は、
意味も、文脈も、日本での歴史も、すべて理解した上での選曲に見える。
政治的な評価は人それぞれでいい。
賛否があるのも当然だ。
でも、少なくともこのテーマ曲の選び方には、
音楽を“人生の中で聴いてきた人”の匂いがする。
だからこそ、
「あ、この人、分かってるな」
と感じた人が少なからずいたんじゃないだろうか。
80年代のあのCMを覚えている世代には、
ちょっとだけ胸が熱くなる選曲だった。







