本日は、森林の保護活動が漁業に及ぼす影響について説明する記述問題を扱います。
森林保護と漁業の関係は、以前、NHKによって放送されていた「プロジェクトX」という番組で襟裳岬の例が放送されてから、広く有名になり、多くの中学受験教材でも扱われるようになったように記憶しています。また過去に中学入試で同様の記述問題が出題されたこともあります。
現在、皆様がお使いの教材にも、簡単に記述があるかと思います。(なかったらすみません)
こうした、教材記載内容の記述についても、確実に書けるようにしておきたいところです。また、これは私見なのですが、社会について、暗記としてでなく、事象の理解としての学習ができているのかを問われている問題のように感じます。最難関校、難関校を目指すためには、単語の暗記に終始せず、文として教材を読み込む勉強が必要であるように思われます。
問題
ある県では、人びとからの募金をもとに自然環境を守る運動が行われてきました。森林の保護運動に、豊かな漁場を守るために漁業関係者が参加することもあります。なぜ、森林の保護が豊かな漁場を守ることにつながるのか説明しなさい。
解説
海の栄養分がどこから流れ込むかという話につながります。これは、陸地から川などを通じて海に流れ込むことが一般的です。今回は、栄養分が流れ込むことを漁業資源にプラスにとらえる話になりますが、漁業資源にとってマイナスの話としては川に流された下水の影響で引き起こされるプランクトンの異常増殖である赤潮、大量発生したプランクトンの死骸をバクテリアが分解する過程で酸素を大量に消費することから発生する、海水中の酸素濃度が低くなる現象である青潮があります。
また、類似の問題として、東南アジアで主にエビ養殖場を建設するために、海に栄養や生物のすみかの提供を行うマングローブの破壊の問題があります。少なからず日本企業の活動による影響によるもので、日本地理にとってまったく無関係という話ではありませんので、こちらも抑えておきましょう。
解答例
森林を保護すれば、川を通してその栄養分が海に流れ込み、魚のえさとなるプランクトンを増やすことができるから。