第198話:履歴書では解らないのが料理人 | 本田承太郎

本田承太郎

飲食店開業を目指す為に学ぶべき知識。
スキルと資金・経験を積んで
自分の城を持つ為にやるべき10の事。

前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田の部下前田は
美味しいクリームコロッケの作り方を
聞いていました。


第198話:履歴書では解らないのが料理人

本田の部下である前田は
人気店の看板メニューである
海老クリームコロッケの作り方を
本田が学んだ事から指示を受けて
後日再現レシピを完成させました。

本田
「本格的にお店を管理するなら
裏方の流通や開発、販売促進等の
企画部も必要になってくるな」

前田
「そうですね。

でも流通ルートや
商品開発に携わる人は専門的な
技術を持っている人を新しく
採用しないといけませんよね?」

「そうなるな。
現場に入る店長や調理スタッフに加え
出店計画を進めて行ける専門職も
必要になると思う」

「会社はどう言っているんですか?」

「今回は必要な企画書と稟議を
プレゼンすれば通るはずだが」

「必要な人員も選別する
役割なんですか?」

「もちろん企画を練る段階で
色々なツテを当たっているが
こればかりは少し難航しそうだな」

「なかなか良い人は
見つかりませんよね~

だって料理人なら自分で
お店持ちますし有能な管理職なら
よその会社でそういうポストに
就いてますもんね」


本田達が話していた様に
チェーン店等の調理マニュアルを
作成する役割は現場経験のある店長や
専門的な技術のある人を引き抜いて
そのポジションを任せたりします。

注意点としては、
この役割を担っている人は
「つなぎ役」でなければいけません。

つなぎ役とは、
現場と会社をつなぐ役割です。

店長や調理担当者にメニュー開発や
メニューのマニュアルを作成させると
偏った物が出来上がります。

外部に依頼したり現場にいない者が
同様の役割を担うと完成度が
低いものが出来上がり易くなります。


つまりどちらにしてもバランスは
悪いと言う事です。


社長が味見をしてOKを出せば
メニューに載るというスタイルの
お店だとしても、

「社長がOKを出す様な商品」
偏って行きますので

社長がそれを意図して
OKを出しているなら構いませんが
一人の判断によって左右されるのは
非常に危険です。


調理マニュアルや作業工程、
什器等のオペレーション管理を
考案するのは現場店長から参考にして
意見を聞き、

開発やレシピは専門の技術職の
職人が作成する方が良いでしょう。

内部の経験者でも構いませんが
何十年も調理修行をした職人に
勝てる店長などそうはいません。

しかし、

調理業界はその実力を
実際に体験しないと解らない事
問題なのです。

普通の企業と同じように人材を
広告で募集して普通に面接をしても

会社が本当に知りたいと思っている
本人の実力は経歴詐称出来て、
都合の良い様にアピールできる事が
飲食業の良くない所です。

つまり
履歴書では解らないのが料理人
なのです。

そうなると、
実際に料理の腕前を体験するか
噂を聞いて引き抜くかと言う事が
良い人材の発掘方法となるのです。


本田承太郎はそういう意味でも
募集して集まった人材に
今回の様な重要な役割を
与えるつもりはありませんでした。



つづく