前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田達は人事部の倉持部長の部下
柏木から人員採用についての
アドバイスを聞いていました。
第182話:富永と言う男
本田承太郎と前田は倉持部長の部下
柏木から面接や人員採用の際の
注意点とアドバイスを貰い
今後新事業でお店を任せる店長に
教育する為のマニュアルを
作成し始めました。
倉持が次回の講義の予定を話し
本田達にそれまでの課題が新たに
与えられました。
本田は人事部を後にして
ある人物と会う約束をしていました。
富永
「本田さんお久しぶりです」
そう言って現れたのは会社で
本田の1年後輩の富永という
営業部の男でした。
本田と富永は部署は違うが
富永が入社したての頃に少し
同じ研修を受けた事があり
たまに富永が食事に誘ってくる
関係の間でした。
この日も富永が昼食に本田を誘い
一緒に食事しながら話を
始めていました。
富永
「本田さん聞いて下さい、
うちの部の仕事で上司の宇野が
使えなくてまたミスするんで
ケツ拭かされたんですよ~!」
富永は口が悪く、会うと
いつも誰かの悪口を言う男でした。
「あそこの部の山田って二つ下の
ヤツが昇進したらしいんです。
何であんなバカな奴が昇進するのか
会社の考えてる事が頭悪いですね。」
「今度の取引先に同行した
上司の鈴木って女なんですけど
高飛車だから取引失敗してるんです。
僕の方が頭良いんで
ホントに迷惑なんですよ~」
次から次へと会社で関わった人や
同じ社内の知ってる人を取り上げて
悪く言ってきます。
本田は富永が後輩で
仲間を悪く言う事にいつも
注意しているのですが、
富永の話を聞くと状況的には
悪く言われる人に非がある様な
気がします。
勉強不足や準備不足、
経験不足など色々な理由が
あるのですが富永の指摘方法は
「他の人に悪く言う」
という何とも感じが悪い
事を行っていたのです。
本田は富永が何の意図で
こういう事をやっているのか
いつも疑問に思っていました。
頭が良い事は知っていましたし
少なくとも自分を食事に
誘ってくるので嫌われてはいない事
何か裏がある事は理解できました。
富永は本田の友人で同期の
「片岡」という同じタイプの
人間に似ていましたが
彼ほどスマートではありません。
社内でもかなり評判は悪く
嫌われているようですが
敵となる人が表立っていない事も
気になりました。
本田は気になって話をするうちに
この富永と言う男の驚きの
手法と行動の意味を知る事と
なったのでした。
つづく