前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田達は人事部の倉持部長の
講義を終え倉持の部下の柏木から
人員採用についての話を
聞いていました。
第181話:人とお金のコントロールを行うコツ
本田承太郎と前田は
人事部でアルバイト面接の
基本的なアドバイスを受けて
面接や採用方法を学びました。
それを受けて今後取り組む
新規事業でお店を任せる店長に
教育する為のマニュアルを
作成する事になったのでした。
アルバイトの採用で重要な事は
いい人材を確保する事は
もちろんの事なのですが
採用してから今後お店で
教育していく為の最初の重要な
ステップとなっています。
最初にネゴシエーション
しておく事で採用後に助かる事も
多くなってきます。
逆に最初に決め事をしておかないと
誰でも自分に都合の良いように
考えるのは自然な事です。
後でルールを足されると
「何で最初に言ってくれないんだ」
と、反発するものですし
最悪それが原因で人手を
失う事もあるかもしれません。
不満を抱えたスタッフを教育するのは
とても困難ですし良い影響を
及ぼしません。
その為事前のネゴシエーションが
必要となるのです。
例えば採用時に、
「夏休み人手が足りなくなるから
シフトに入って欲しい」
と何カ月も後の事を頼んでおきます。
この時点で予定は当然決まっては
いないはずなので聞かれた側も
「解りました」
「努力します」
「出来れば入ります」
と言うように前向きな意見が
多く出てくると思います。
これが、
夏休み前の7月位に聞くと
予定が詰まっていて
「無理です」
「用事があります」
などと断られます。
事前ネゴシエーションで
先に先約しておくともし断られても
次の冬休みの時は罪悪感から
シフト貢献してくれるかも
知れません。
そうやって相手の都合を把握し
考慮して無理なく予定に
組みこませる事で貢献度も
お店から上げさせてあげる事が
出来るのです。
いつも急に無理を言って
聞いてくれるのは店主の人柄や
お店の状況や本人の人間性にもより
変わりますが
それに甘えて事前の対策を
しないという事は従業員を
抱える人間としては甘いのです。
始めにこういうお店の方針で
やっていくと言う事を伝えておけば
それだけリスクも減ると
言う事なのです。
アルバイト採用時に
契約書や誓約書が重視され
採用者にもよく読まれるという事は
日本では少ないかもしれません。
採用されると働き始める事で
頭がいっぱいになりますので
条件面は説明された事を
覚えていれば良いと言う
感覚なのです。
では、
雇う側も契約書に書いてあれば良い
というスタンスでは当然思惑は
破たんします。
契約書に夏休みにシフト貢献する事
と書いてあっても、
契約書を読んで無くて
断れない予定を入れてしまって
いるのではどうにもなりません。
もし、そんなことまで
記載するのなら口頭でも
伝えないとならないのです。
事前ネゴシエーションとは
普段通りのシフト募集時期の
相談とは違い、
かなり前からどうしても
貢献して欲しい時の「交渉」なので
見返りや報奨も用意して
臨むものです。
お店の店主が意外と出来ない
事前ネゴシエーションを
マスターするとそれだけ
従業員の満足度を底上げできますし
シフトや予算の確実性を
上げる事もできます。
人とお金のコントロールを行う
コツと言っても良いでしょう。
お店を持つ店主は
こういったコツを多く持つ事で
繁盛店を築き上げているのです。
つづく