第133話:ホルモンの部位 | 本田承太郎

本田承太郎

飲食店開業を目指す為に学ぶべき知識。
スキルと資金・経験を積んで
自分の城を持つ為にやるべき10の事。

前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田が研修で留守の間、部下の前田は
課題の研修を一つこなし、休暇で
友人のハルカとホルモンを食べに
やってきました。


第133話:ホルモンの部位

本田承太郎の部下の前田は親友の
ハルカに誘われ、
炭火ホルモン焼きのお店に来て
ホルモンの魅力について教えて貰って
いたのでした。


部位によって食感や脂身などが
大きく違う事もホルモンの特徴で
ハラミやほほ肉の様な比較的お肉に
近い肉質の物
から

ウルテやコブクロといった
およそ内臓としか思えないような
形をしたホルモンを味わえる事も
楽しみの一つです。

ですが、
ホルモン初心者にはどこの部分を
食べているのか何を食べているのか
解らなくなる事があります。


カルビやロースの様なお肉なら
名前も味も多くの人が知っていますが、

「シビレの食感と味は?」と急に
聞かれたとしてもパッと
思いつきません。

そこでお店も親切に牛の部位の
一覧表やメニュー表記に説明を記載し
簡単に理解できて楽しめるように
メニューを作ってくれています。

ホルモン部位


この様なホルモンの部位を表した
一覧表が記載され一品ずつ詳細が
説明されています。

ではここで、
前田とハルカが行ったホルモン屋の
珍しいホルモンと特徴を
紹介していきます。

頭部:

【ブレンズ】脳ミソ

脳ミソ=ビタミンCがレバーに次いで
豊富な部位でBSE対策で
出回っていません。

【ホホ】頬肉

よく動かす部分で歯ごたえがあり
味も濃く、脂のうまみもあります。

【コメカミ】頬肉

ゼラチン質を多く含んで柔らかく、
クセも少なくてコクと旨味のある
赤身系のホルモンです。
こめかみから頬にかけての部分の肉。
ホホと同じ部位として出される。

【タン】舌

根もとの部分の方が柔らかく、
霜が降っていて美味です。
タンツラとも言われ、
希少部位としてタンツラを
ブロック状にしたタンアワビと
言うメニューもあります。

【タンした】舌
タンの下側の部分でまろやかな
脂身と適度な柔らかさがある。

喉部:

【ウルテ】気管

喉の気管にある軟骨。
ホルモンの中でも最も硬い部分で
切り込みを入れた加工をして食べる。

【ネクタイ】食堂

食堂。ノドスジとも呼ばれます。
開いて切れ目を入れて出すことが多く
赤身でクセが無くホルモンとは
思えないほど肉感があります。

胴部:

【シビレ】胸腺

牛の胸腺と膵臓です。
仔牛のシビレはリードヴォーと呼ばれ
高級料理店で使われる食材です。
適度な脂身と柔らかさが特徴。

【フワ】肺

肺部分。フワを出す店は大変希少で
食材の足も速い事から
あまりお目にかかれない部位です。
かなり軟らかい食感で味も淡泊なので
ハツやレバーの間くらいのイメージで
考えると想像できます。

【ミノ】第1胃袋

クセは少ない部位。
胃の壁に脂がはさまっている部分を
サンドミノの名前で見かけることも。
上ミノは中央部分の身が厚い部分。
切り開いた形が簑傘(みのがさ)
に似ているためこう言われた。

【ハチノス】第2胃袋

蜂の巣状に筋があり、
独特の風味と歯ごたえがあり

【センマイ】第3胃袋

食べるとザクっとした歯ごたえで、
表面の灰色の部分を湯むきしたものは
「白センマイ」言われる事もあります。

【アカセン】第4胃袋

別名ギアラ
コリコリした歯ごたえで旨みも濃厚。
労働の対価(ギャラ)として
やりとりされていたのを語源とする
説もあります。

【アキレス】アキレス腱

足の後ろ側にあるアキレス腱で、
コラーゲンがたっぷり含まれ
スジと呼ばれます。
牛すじとは少し違う場合も。

【ハラミ】横隔膜

キレイなサシが入っていて、
サガリに比べたら脂質が多い部位。
肉の様に思えるがホルモンの分類で
ホルモンが苦手でも抵抗なく
食べられる人気部位。

【サガリ】横隔膜

サガリはハラミという部位
と2つ合わせて横隔膜のことを指す
内蔵肉でハラミより脂分が
落ちる部位。

【チチカブ】乳房

乳房。1頭のメス牛に4つあります。
乳汁を搾り出して洗浄して食べます。
心なしかミルキーで歯ごたえもよく、
通が絶賛する部分です。

【ハツ】心臓

脂は少ないが旨みがあり、
細い筋繊維質でやわらかくても
コリコリとした歯ごたえがあり
食べ易い。

【タケノコ】動脈

心臓の付け根にある大動脈。
コリコリ・タケノコとも呼ばれ、
かなり噛みごたえがあり
硬め
部位で切り込みを入れて食べる事が
多い。

【タチギモ】脾臓

チレとも言います。
ビタミンや鉄分が豊富に含まれて
お刺身でも食べられる部分。

【セキズイ】脊髄

白子のような食感でまろやか。
BSE問題で余り出まわらなく
なりました。

【レバー】肝臓

肝臓。牛の内臓の中でも大きく、
タンパク質やビタミンA・B1、B2
鉄分などの栄養価が高い部位。
焼き過ぎるとパサつく。

【マメ】腎臓

牛はブドウのような房状です。
香りにクセがあり、脂肪が少なく
ビタミンB1・B2が豊富。
ヨーロッパでは濃い味付けで
ソテーにして食べられています。
仔牛のものほどクセが少なくなる。

【テッポウ】直腸

開いた形が鉄砲に似ているため
この呼び名になったとされる。
軟らかくてコクと脂も多く濃厚です。

【シマチョウ】大腸

身はかなり
硬い部分もある。
身の脂は甘く臭みを取る為脂を
を落としたものは「こてっちゃん」
と言われる。

【ホソ】小腸

脂がたっぷり付いていて甘い。
身が薄く役とジューシーなので
食べ易いホルモンの定番。
細長く白い部分が上等とされる。

【丸腸】小腸
小腸を裏返して脂を詰めた物。
切り分けて焼く事が多く焼くと
脂が甘くジューシーで美味。
はじける事もあるので注意。

【コブクロ】子宮

子宮。メスのみの部位。
コリコリした食感でクセも少なく
細長いひも状。

【テール】尻尾

尻尾。皮をむいて関節部分で
ぶつ切りにして売られてます。
コラーゲンが豊富で、
スープや煮込みに向いています。

【スジ】筋肉

色々な部位をトリミングした
際の脂身と筋の部分

ハルカ
「ホルモンって名前の由来は
知ってる?」


前田
「知らない」

「私が今まで知ってたのは、
内臓は昔あんまり食べられ無くて
捨てていた事から

大阪弁の捨てると言う言葉
【ほおる(放る)】をなぞって
ほおるもん(物)=ホルモンって
覚えてたんだけど

実は違うみたい」


「聞いたことあるかも!
でも違うんだ~」


「先輩に聞いたんだけど、
語源は内分泌のホルモンで、
栄養豊富な内臓料理を食べると
スタミナが付いたり健康的に
なる事から昔からホルモン料理と
呼んでいたそうよ。」


「へ~」

「すっぽんとかも実は
そう呼ばれてたみたい」


「ナルホド~勉強になるわ」

「実はホルモンにハマって
ガイドブック持ってるんだ。」


「じゃあ今度は焼肉の部位も
調べといてよ~」


そう言ってハルカと前田は
ホルモン焼きを楽しんだのでした。

コテツ


つづく