本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田は友人で同期の片岡に社内の
派閥について話を聞いていました。
第104話:昇格してくる部下が多い部署
本田承太郎の同期片岡は元部下の
西山が自分より先に昇格した事に
怒り、理由を調べました。
その裏事情が実は派閥の関係で
工作されたと言う事が解ります。
藤堂物産の派閥は大きなものが
社長派・専務派に分かれています。
西山の上司であり、
退職していた西山を再び会社に
雇い入れた小山部長と言う男は
実は専務派の人間でした。
専務派の取りまきに大森・加藤
・梅田という3人の部長達が
すでにポジションを確立して
いたので
小山は専務に目を掛けられる
一人ではあったのですが
このままでは大森・加藤・梅田を
追い抜く事は出来ないと
思ったことが事の発端でした。
この3人は専務に忠実なだけの
専務の言葉を受け売りする
イエスマンで
部下や周囲に厳しく接する事で
専務の信頼を得ているたちの悪い
部長たちです。
小山も同じようなタイプでしたが
自分よりも評価されている3人を
疎ましく思っていて
同じ専務派ながら対立関係に
あったのでした。
小山の部署は緩やかに業績を
伸ばしていて一応評価は
されているのですが、
目立たないのでそれほどの
インパクトも無くそれなりの
ポジションで留まっていました。
小山は上昇志向が激しく、
他人を蹴落としてでも昇格を
狙っているタイプです。
そんな小山が取った
自分がのし上がる手段は
意外とまともな方法でした。
「昇格してくる部下が多い部署」
部下を成長させ評価して
昇格させて業績が伸びると
必然的に部長の人材育成能力が
評価されていきます。
もともと業績は緩やかに
伸びていたので後は部下を評価し
昇格させていくだけでした。
そうやって小山は今まで何人も
自分の言う事を聞く部下を集め、
能力に関係なく評価して
どんどん昇格させていきました。
会社と言うのは実績しか見ない。
と言われるように、
実際に実績が伸びていて
次々に若い人材が昇格していくと
その部署は活気づいているように
見えるかもしれません。
上層部の派閥は社長派・専務派と
別れていますが、
実際の役職では専務と取り巻きの
部長職たちとの間には役員の
階級があります。
本田承太郎
「事業部と派閥は関係あるのか?」
片岡
「無いとも言えないが
役職とはあまり関係無いようだな。
最近変わった人事を見ると
こんな感じになるだろう。」
そう言って片岡は相関図を
書き出しました。
小山は常務などの、
新たに作ろうと思っていた様で
どうしても3人の取り巻き部長を
出し抜きたかったのでした。
しかし、ある事件がきっかけで
この計画の全てがご破算に
なってしまったのでした。
小山が会社を退職したのです。
本田
「結局小山部長はなんで
退職する事になったんだ?」
片岡
「知らないのか?
それこそ俺が一番怒っている
理由なんだぞ。」
そう言うと
片岡は小山が画策して西山を
昇格させた後に退職した
一部しか知らない衝撃の事実を
話し始めたのでした。
つづく