第102話:社内派閥の裏側 | 本田承太郎

本田承太郎

飲食店開業を目指す為に学ぶべき知識。
スキルと資金・経験を積んで
自分の城を持つ為にやるべき10の事。

前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田は社内の人事で後輩の西山が
部長に昇格しその件で友人の片岡に
話を聞いていました。

第102話:社内派閥の裏側

他の部署の次長で
本田の友人でもあるある片岡は
今回の件で相当怒っていました。

後輩の西山が自分よりも劣っていると
知っていて先に昇格されたので
当たり前かもしれません。

片岡によると、
どうやら裏事情があるようです。

「社内派閥」

会社の体制が古いと長年働いている
重鎮社員の威光も強く今だに派閥が
生まれる企業も多くあります。

藤堂物産の派閥は規模が大きいので
派閥も分岐して色々あります。

まずこの会社は創業者が一代で築いた
会社なので創業者と起業した時の
社員たちが重役となっています。

そして30年して代替わりし
社長も重役から何代か変わって
今は創業者の息子が代表取締役と
なっています。

そして、社長の弟も専務として
役員のポジションに就いて大きな
影響力を持っていました。

現在、藤堂物産では2大派閥があり、

兄の
「社長派」
弟の
「専務派」

が大きなくくりでの派閥でした。

専務の下に重役の役員がいて、
そこから藤森部長などの部長職、
本田や片岡たちの様な管理職と
枝分かれしていきます。

社長は組織を強くする為に

「勉強会」と呼ばれる、

定期的に社長と面談できる機会を
設けていました。

メンバーは社長と各部署から
選抜で選ばれた一般社員です。

この会に参加する事により、
社長との距離が近くなり社長の
考えや経営方針を学べるという
主旨の勉強会
となっていました。

しかし、
参加する社員たちのメリットは
一番トップの社長に目を
掛けられる事で自分の出世が
早まる事が最大の参加要因
でした。

実際に参加者の多くが、
通常よりも早く出世していきます。

その背景にはこんなカラクリが
ありました。

①部署で勉強会の参加募集がある

②参加すると社長と距離が近くなり
社長に意見を言える様になる。

③社長に意見が言える立場なので
直属の上司が優しくなる。
(余計な事をチクられない為)

④上司が社長派なので社長に
取り入る為に自分を出世させる

⑤上司の勢力が強まり、結果的に
社長派が強くなっていく

表面上は確かに
風通しの良い社風の様に見えます。

社長自身は頭の良い落ち着いた
雰囲気の社長で純粋に組織強化を
目的に勉強会を開いていました。

しかし、
部下たちの意図せぬ思惑に派閥が
出来てしまっていたのでした。


冷静に考えると社長の考えの
「組織を強くする」という思想は

一般社員や部下達にとっては
経歴が浅くなる毎に共感できる
度合いも薄くなっていく事は
当然なのかもしれません。

新しく選抜された一般社員と
創業したメンバーが会社に対し
同じ思いを抱いているはずは無い
と言うのが理由です。

だとすれば行動原理は自分にとって
メリットになる事が要因です。

つまり出世や昇給・社会的地位など
自分にとっての対価が目的です。

そうやって想いにズレがあって
勉強会は進み今では派閥が大きく
成長してしまったのでした。


本田承太郎は派閥に属さない主義で
今まであまり興味を持って
いなかったので今回の件で初めて
派閥の内情を知る事となりました。

本田
「つまり整理すると今の派閥は
こんな感じになっているんだな?」


片岡
「今話した所まではこうなる」

そう言って片岡は今説明した
部分だけの状態を書き出しました。

派閥社長派

今回片岡が問題にした西山の
昇格の件はこの様に派閥の関係で
部長クラスが画策したという
情報を入手していたのでした。

しかし、
西山の上司の小山は「社長派」では
ありませんでした。

片岡は小山の所属する派閥について
詳しく語り始めました。


つづく

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