第103話:拡大事業の先行者利益 | 本田承太郎

本田承太郎

飲食店開業を目指す為に学ぶべき知識。
スキルと資金・経験を積んで
自分の城を持つ為にやるべき10の事。

前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田は友人で同期の片岡に社内の
派閥について話を聞いていました。

第103話:拡大事業の先行者利益

片岡は本田承太郎に社長に取り入る
部下たちがいて藤堂物産の中の
派閥が変化したと言います。

藤堂物産の社長は2年前に創業者の
渡辺創一郎が社長の代を譲り
会長になってから

アドバイザーとして経営参画する
というだけで実子である兄弟に
経営は任せていました。

それから経営方針も少しずつ変化し
最近では色々な新しい取り組みや
組織の動きがみられます。

新たに事業部が立ち上がったり、
今ままで自社ブランドに拘って
販売していた商品を提携に
変えたり、

フランチャイズ展開したりと
目に見えて社内の状況は変化して
いました。

これにより業績も少し向上したので
更に取り組みが進む流れになって
来ていたのでした。

今回本田が取り組んでいる、
外食産業に新しく参入する事も、

この事がもとで、
新たな取り組みとして立案された
企画だったのです。

片岡
「本田、専務は話した事あるか?」

本田
「もちろんあるけど、
それほど深く話した事は無いな」


「専務派があるのは知ってるなよ?」

「いつも取り巻きみたいに一緒に
動いてる3人だろう?」


専務の渡辺次晴は頭脳派の兄と違い、
体育会系の様な縦社会を好む
強面の武闘派でした。

武闘派と言うのは、
大学生の時に趣味で行っていた
格闘技にハマり、

当時総合格闘技ブームだった為、
入社して社会人になってからも
総合格闘技のジムに通っていた位
熱中していたのでした。

そして、
兄が社長に就任して自分も経営に
参画する立場になってから
人材育成の一環として

社内に総合格闘技のサークルを
作ってしまったのです。

今では、
総合格闘技部として確立されていて
仕事の業務以外で身体と精神を
鍛える修行の場として
参加自由になっていました。

そんな専務の取り巻きに
常に3人の部下を見かけていたので
本田はそう思ったのかもしれません。

その3人は各事業部の部長職で
大森・加藤・梅田という、
ベテランの部長達でした。

片岡によると、
元々は社長の下が専務で事業の
統括や業務を取り仕切る立場なので

自然と密な関係になっていたそうで
派閥と言う訳では無かったのですが
専務が総合格闘技部を作ってから

成り行きで入部した3人は
必然的に社内で専務派と呼ばれ、
実際に専務に目を掛けられて
よく一緒にいる事からも
理解でる状態でした。

しかし、片岡が言うには
表面上の関係では無くて各役職で
対立関係が起こっているそうです。

会長と社長・専務は家族なので
協力関係にありますが部下は
社長派・専務派に分かれ、

その中でも
ライバル同士の昇格争いが
行われているそうです。

その背景には、
この会社の体制が変化して
新規事業が多く取り入れられて
部署や新事業といった

チャンスも多くなっている事から
普通の安定した会社で何十年も
働いてやっと部長になるより

数倍も早く昇格できる可能性が
ある「バブル期」だからです。

市場でもインターネットが普及し
スマートフォンが普及して
フェイスブックやライン、
ツイッターなどのSNSが
大きくブームになりました。

この一気に膨れ上がったブームは
市場で言うとバブル期ですよね。

もしかしたらずっと
伸び続けて行くかも知れませんが
いち早くこのビジネスに
参入した人が大きく成果を
上げてるそうです。

「拡大事業の先行者利益」

こういった新しい取り組みや、
新規事業が拡大する時に
自分のポジションを確立すれば
自然と役割も重要なものに
なっていくので、

新たな事業の参入や新規オープン
経営者の人員体制の変化などは
大きなチャンスとなるのです。

その為、社長が変わり
会社の経営方針も変化している中
動きを見せている人も当然の様に
多くいるという訳です。


ここで話は戻ります。


片岡や本田の元部下の西山は
片岡達より先に昇格します。

それに怒った片岡が調べた
裏事情が派閥の関係で工作された
と言う事が解りました。

西山の上司であり、
退職していた西山を再び会社に
雇い入れた小山部長と言う男は
実は「専務派」の人間でした。


この専務派に色々と
問題が起きていたのです。


つづく

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