前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
部下の前田の友人がブラック企業で
悩んでいてプロジェクト進行の
参考となると考えた本田は前田と共に
この問題を調べていました。
第72話:みなし残業による悪質なケース
未払い残業代を支払わない為に
「名ばかり店長」という
管理職に引き上げて残業代を
掛からないように仕向ける
悪質な企業の実態を調べてみると
まだ多くの企業がこの
名ばかり管理職の実態がある中
裁判では残業代を支払うように命じる
判決が出ている事が解りました。
そして、これに伴い
多くの企業がとった行動が
本田には新たに解ってきたのです。
それは、
「みなし残業」というものでした。
みなし残業という言葉を
知っているでしょうか?
これは、採用募集する時などに
あらかじめ残業時間も計算に入れて
収入計算に入っている場合など
みなし残業となる制度です。
例えば、外回りの営業や
仕事上の接待など時間が不明確な
仕事内容の場合に設定されるケースが
多く昔からあるもののようですが
名ばかり店長の作戦で
今後摘発されるおそれが出てきた以上
それに代わる作戦として出てきたのが
この「みなし残業」を利用した
悪質なケースなのです。
一つ誤解してはいけないのが
みなし残業を採用している企業が
ブラック企業という訳ではありません。
みなし残業とはあらかじめ
残業代が給料に含まれる事を
決まっていて契約するので
例えば30時間の残業が規定で
決まっているのなら
30時間働いても働かなくても
30時間分の給与が払われるのです。
聞いて見ると得なように感じますが、
超過した場合にブラック企業と
優良企業と差が出るのです。
みなし残業の制度を利用していて
管理職に押し上げられた人が
残業を超過した場合に
超過分の残業代が支払われるのか
支払われないのかという事が
問題なのです。
先ほど言ったように
名ばかり管理職で残業代を
払わないと問題になるので
みなし残業の制度にして
超過分はノルマだと言って
残業代を支払わない企業が
出てきているのです。
むしろ、企業にとって
何の特もない制度なのに
多くの企業が採用するのは
残業代を払わないために
採用し始めたと言っても
過言では無いかもしれません。
つまり、
名ばかり管理職のように
ひと目で働いた分の給与が
支払われないケースと違い
初めから残業代が決まっていて
その分の残業費を
貰っているので超過しても
文句を言いにくいのかも
しれませんね。
本田承太郎が調べた限りでは
この「みなし残業」で
超過残業代を
支払わない企業が多く、
普通に横行しているのが
解ったのでした。
これはもちろん違法で
本当は支払わなければ
ならないのですが
管理職に引き上げたり、
責任ある立場に置いて
文句を言いにくい状況を
「空気」で作っていくのです。
みなし残業を
知らない人も多く
そういう物だと思い込ませて
通例となる場合もあります。
あまりにも普通に
横行しすぎていて
カンチガイしていた場合には
簡単には言い出せないのでは
ないでしょうか。
この例が招く
採用募集の落とし穴なども
本田は気になっていました。