第28話:不振店から繁盛店への転換 | 本田承太郎

本田承太郎

飲食店開業を目指す為に学ぶべき知識。
スキルと資金・経験を積んで
自分の城を持つ為にやるべき10の事。

前回までのあらすじ:藤堂物産で働く本田承太郎はこの会社で10年働くサラリーマン。
本田承太郎は部下の前田と一緒に飲食店基礎講座を受講し
講師の榊先生が手がけたあるコンビニ店とカラオケ店での
コンサルティング経験のお話を聞いていました。

第28話:不振店から繁盛店への転換

登場人物はコンビニ店長の武田(男)、カラオケ店長の川口(女)。

二人はそれぞれ、お店を任され序盤は売上低迷に苦しんだものの
榊先生のアドバイスにより売上をキープしつつ
徐々に回復の兆しを見せ始めていた。


その理由の一つが、
「スタッフの教育」というテーマでした。

どの仕事でもスタッフを育てることは
最も重要な要素でありますが
果たして正しく教育できているのでしょうか?


「正しい教育」に正解はありませんが
その会社やお店にとっての「正しい道」はあると思います。


本田承太郎には仕事で働く上での座右の銘がありました。

それは「愛と正義」という言葉です。

仕事に対して、スタッフに対して愛や正義を持って
取り組むという意思を常に忘れないという事です。

例えば、
仕事上必要な判断を迫られる時に
この言葉を思いだし、

「この判断に正義はあるのか?愛はあるのか?」
と自分に問いかけて判断を決めているのです。


本田が驚いたのは、榊先生から
今回のコンサルティング経験の話で同じ言葉が聞けたことでした。


榊先生が、武田と川口の二人の店長に話した言葉も

榊先生


「スタッフや仕事そのものに正義と愛情、情熱を忘れてはいけない」
というものだったのです。



コンビニ店長の武田とカラオケ店長の川口に
榊先生がある課題を与え、それを忠実に実践したから
お店の意識が変わり始めた事がありました。


その方法とは、コンビニ店の店長武田には
お店の周辺を毎日掃除し駅までの道のゴミを
コンビニのユニフォームを着たまま拾って歩く事を
課題に与えていたのです。

始めのうちはプライドの高い武田も
榊先生の言うことを聞くようになったとは言え
言うことを聞かないアルバイトたちの前で

ゴミ拾いを自分で毎日ひとりでやるなど
許せない思いでいっぱいでした。

しかし、武田にとって最も許せないのが
結果のでない業績だったのでこの時は
愛情や正義というよりも自分のプライドのために
本気で取り組むことを辞めなかったのです。


すると、1ヶ月もゴミ拾いをしていると
道行く商店街の人や商店の人から声をかけられるように
なってきました。

「お兄ちゃん、毎日頑張ってるね」

何気ない一言や声を掛けられる事に
武田も自然と笑顔で「ありがとうございます」と
話をするようになっていきました。


すると徐々にゴミ拾いで出会った人達が
コンビニを利用するようになってきていたのです。

店内でも接客中にもにこやかに商店街の人と話す
武田店長の姿と毎日ゴミを拾う姿を見ている

アルバイトやスタッフ達は、
自分たちに一生懸命お店への思いを話す店長の
行動と想いを理解していくことになります。

3ヶ月過ぎたある日、スタッフのひとりが
「店長、私もゴミ拾いやります」と言ってきました。

この時初めて武田はスタッフを素直に褒めることができました。

このスタッフはお店の中のリーダーで、
毎日コンビニの店長がゴミを拾って歩いていると
家族に聞いて知ったと言います。

後で聞くと

榊先生


「行動と想いを知ったスタッフが動かされない理由は無い」
と言うのが榊先生の持論ででした。

一方、
カラオケ店の川口には、100個のイベントをスタッフに提出させて
練り上げ、3ヶ月以内に実践する事を課題に与えていました。


川口には自分の接客スキルを封印させ、
イベントに必要な雑用をさせていました。

もともと、理想が高い川口店長が
自分が理想とするイベントを成功させるためには

スタッフに対し自分の思いや接客の基本、
テクニックやポイントを伝えていかなければできませんでした。

始めのうちは慣れないスタッフはぎこちなかったですが
川口以前の店長が仕事をしなかったせいもあり
もともと接客に慣れているスタッフは
徐々に川口店長のスキルをマスターしていったのです。

以前の店長と確執があってやる気を無くしていた
スタッフたちも川口店長の本気と、
自分たちが必要とされていることに発奮して
本気の接客を見せ始めていたのです。

イベント自体はスタッフが考えていたこともあり
中には在り来たりな内容のものもありました。

しかし、川口はすべて採用してアドバイスし、
実践することを選びました。

そしてスタッフとの反省会で
次の企画の参考にしていたのです。


榊先生


「自分を必要としている人に力を貸さない理由はない」
と言うのも榊先生の持論でした。

こうして自分を必要とされていることに気づいた
スタッフも一層頑張って取り組んだ結果、
3ヶ月の間に出来たイベントが67個にものぼりました。

この時、スタッフのリーダーは
100個出来なかった事に泣いたそうです。


これがなりよりも川口は嬉しかった事でした。

そして1年後には120個のイベントを実践し
成功を収めるようになっていったのです。


コンビニとカラオケ店を経営する
松木社長は1年後に武田店長と川口店長に
契約終了を伝えました。


しかし、二人の店長は、
実際にお店の経営を経験して
今ではスタッフとは家族のように仲の良い
立派な店長へと成長して

「もっと今のお店を良くしたい」
「もっとあいつらに恩返ししたい」と

松木社長へお願いしたのです。


こうして二人は、
店長として松木社長の会社で働くことになったというわけです。


今回榊先生が言いたかった事は、
人材がいかに大事か、そしていかに難しいか
という事をテーマに話をしてくれていました。


榊先生が言うには
ある事が今回の成功を導いた要因と
結論付けたそうです。


それが今回本田承太郎に求められる大事な要素となるのでした。

つづく
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